健康 病院だより No.104

●今年の感染症はどう乗り切る?~感染症シーズン到来前に確認してほしいこと~
朝晩の冷え込みが強まり、体調を崩しやすい季節となりました。例年、この時期から、インフルエンザや新型コロナウイルス等の流行が心配されます。当院においても、町民の皆様に安心して受診していただけるよう、発熱などの風邪症状のある方は、引き続き、一般外来とは別に発熱外来での対応をさせていただいています。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
さて、感染症シーズンに入る前に、新型コロナとインフルエンザの症状の特徴をおさらいしましょう。

○新型コロナ
(1)37℃以上の発熱(高熱や発熱がないケースもある)
(2)咽頭痛
新たな変異株「ニンパス」ではカミソリで切られたような激痛が特徴
(3)その他の症状
咳、鼻水、頭痛、倦怠感、消化器症状(吐き気・下痢)、味覚・嗅覚障害など

○インフルエンザ
(1)突然の38℃以上の高熱
(2)関節痛、筋肉痛、全身倦怠感
(3)その他の症状
咳、鼻水、咽頭痛など

私自身も両方の感染症を経験していますが、「コロナはとにかくのどが痛く、インフルは体中が痛くて、高い熱がでる」という症状の違いが印象的です。
コロナ禍では、マスク・手洗い・人との距離の確保などの対策が徹底された結果、2020年から2021年にかけては全国的にインフルエンザの流行がほとんど見られませんでした。しかし、ここ数年では天塩町においても、徐々に流行がみられるようになっており、昨年11月~3月のインフルエンザ陽性者は101名と、今年度の流行も懸念されています。また、新型コロナについても、今年度も断続的に感染者が確認されている状況です。小さなお子様や高齢者、基礎疾患のある方々は、重症化リスクもあるため、適切な予防と対策が必要と言われています。

予防対策については、次の5つが重要です!!
(1)手洗い・うがい
手洗いは石鹸と水で20秒以上しっかりと洗いましょう
(2)換気
室内の空気を定期的に入れ替えることで、ウイルスの拡散を防ぎましょう
(3)マスクの着用
特に人が多い場所や室内ではマスクを着用しましょう(病院受診の際もマスク着用のご協力をお願いいたします)
(4)健康管理
規則正しい生活とバランスのとれた食事で免疫力を高めましょう
(5)ワクチン接種
重症化予防のため、毎年接種を推奨

今年度も当院において、ワクチンの集団接種を予定しています。
インフルエンザワクチンでは、これまでの皮下注射に加え、2歳以上19歳未満を対象に鼻に噴霧するタイプの経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト)が開始となります。注射針を使わないことで痛みを伴わないこと、接種回数が1回、効果が長期間持続するなどの特徴がありますので、詳細につきましては、天塩町より回覧されます案内をご覧ください。

最後に、8月より天塩町でも陽性者が確認されている百日咳について、症状や経過についてご紹介します。
百日咳とは、名前の由来にもなっている通り、2~3か月ほどの激しい咳が長く続くのが特徴の感染症です。はじめは軽い風邪のような症状で始まりますが、1~2週間後には「コンコンコン」と連続した咳が強まり、咳き込んだあとに「ヒューッ」という音を立てて息を吸い込むような特徴的な咳発作が現れることもあります。この咳は夜間に特に強くなりやすく、咳の勢いで嘔吐することもあるほどです。熱はあまり出ず、咳がないときは元気に見えるのも特徴です。百日咳は大きく分けて3つの時期に分かれます。
(1)カタル期(1~2週間)
風邪のような症状(鼻水、くしゃみ、軽い咳)
(2)痙咳期(2~6週間)
発作的な咳が頻発。特徴的な音や嘔吐も見られる
(3)回復期(2~3週間)
徐々に咳が治まり、発作の回数も減ってくる
百日咳の診断は、咳の経過や症状の特徴から総合的に診断され、さらに確定診断には、抗原検査等がありますが、現在、当院では検査は非対応となっています。
また百日咳は、発症して間もないカタル期の間に診断し、適切な抗菌薬を処方することにより、症状を軽減し周囲への感染力を下げると言われています。具体的には、抗菌薬の投与で6日目以降に百日咳の感染力は下がると言われており、学校保健安全法においても、出席停止期間の基準は、特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌剤の治療が終了するまでとされています。症状が蔓延化した3~4週間以降になると、抗菌薬を投与しても効果が期待できないこともありますので、周囲での百日咳の流行や長引く咳が気になる場合は、早めの受診を心がけましょう。
(院内感染対策委員会 高田寛子)

お問い合せ先:天塩町立国民健康保険病院
【電話】(2)1058