くらし 協力隊通信

■アイヌ資料の少なさの原因とは︖
こんにちは、天塩町地域おこし協力隊の前川です。
天塩町にはかつて、アイヌの方々がコタン(集落)を形成して暮らしていたとされ、チャシ(砦)跡や地名の由来にその痕跡を見ることができます。しかし、天塩川歴史資料館におけるアイヌの展示資料は、庄内藩代官・原半衛門が遺した匙など3点のみです。調査の結果、天塩川流域のアイヌが名寄のナイブチ(内淵)給与地に集められた事が、資料の少なさの一因だと判明しました。
ナイブチ給与地とは、アイヌを「農耕民化」し、同化を進める旧土人保護法の政策の一つです。名寄市北国博物館には、複数の個人から寄贈されたアイヌ資料が、約300点以上所蔵とされており、その中に、天塩由来の資料も含まれている可能性はあるかもしれません。  
今後、新たな資料の発見は難しいかもしれませんが、痕跡をたどることで、天塩の新たな歴史に光があてられるかもしれません。(前川)

■天塩町のヘビ・竜神信仰
天塩町地域おこし協力隊、天塩川歴史資料館学芸員の鷹尾です。近頃の豪雨により、洪水や川の氾濫について気にすることが増えました。みなさまはご安全にお過ごしでしょうか。水害に対する畏れや不安な気持ちは、古来ヘビや竜に結びつけられて信仰と畏怖の対象とされるもの。天塩川という日本で4番目に長い河川を有する天塩町において、ヘビ・竜神信仰が存在したのか、現在も残っている信仰の形はあるのか。調査してみると、興味深い歴史を垣間見ることができるのではないでしょうか。

9月17日(水)から10月12日(日)まで、天塩川歴史資料館では「第34回道北地区博物館等連絡協議会巡回展 巳年のヘビ展」を開催中です。巳年にちなみ、北海道に生息するヘビの生態や文化的な面から見るヘビについてのパネル解説や、ハンズオン(触れる)展示をお楽しみいただけます。道北地区のミュージアムを巡回する共通の展示パネルに加え、天塩町にゆかりのあるヘビの話についてのパネルも展示予定。2025年は10月31日(金)まで開館しておりますので、冬季休館前にぜひお越しください。みなさまのご来館をお待ちしております。(鷹尾)