健康 病院だより No.106

●鍋の季節到来!やさしい味わいの「ピエンロー鍋」
朝晩の冷え込みが増し、湯気の立つ鍋が恋しい季節になりました。そんな冬の食卓におすすめなのが、中国の家庭料理「ピエンロー鍋(扁炉鍋)」です。
白菜と干し椎茸、鶏肉を使った、やさしい味わいの鍋です。

○白菜のやさしい甘みと「グルタミン酸」
ピエンロー鍋の主役は、なんといっても白菜です。火を通すことで、葉はとろりと柔らかくなり、芯の部分からはやさしい甘みと「グルタミン酸」といううまみ成分がしみ出します。白菜はカロリーが低く、ビタミンCや食物繊維も豊富。冬場の風邪予防や腸内環境の改善にも役立ちます。

○干し椎茸の香りとうまみの深み
鍋に欠かせないもうひとつの食材が干し椎茸です。干すことでうまみが凝縮し、「グアニル酸」という成分が生まれます。椎茸を戻したときの戻し汁にも、このうまみがたっぷり。スープに加えれば、香り高く、深みのある味わいに仕上がります。干し椎茸にはビタミンDが豊富に含まれており、骨の健康を支え、免疫力アップにも効果的です。

○鶏肉のコクと「うまみの相乗効果」
鶏肉には「イノシン酸」といううまみ成分があります。このイノシン酸が、白菜のグルタミン酸や椎茸のグアニル酸と組み合わさることで、うまみが何倍にもふくらむ“相乗効果”が生まれます。鶏モモ肉を使うと、煮込むほどにコクと旨みが出て、他の具材と見事に調和します。鶏肉は良質なたんぱく質の供給源で、疲れた体をやさしく支えてくれます。

○簡単でシンプルだからこそ飽きない味
この組み合わせこそが、ピエンロー鍋の最大の魅力。調味料を控えめにしても、素材のうまみだけで十分に満足できる深い味わいになります。
作り方はとても簡単です。鍋に干し椎茸の戻し汁と椎茸を入れ、切った鶏肉と白菜を交互に重ねて煮込むだけ。
白菜はそぎ切りにして切り口を大きくすることで、うまみ成分が多く出ます。お肉は豚肉や肉団子でも美味です。

○食べ方にだけルールあり
(1)取り分ける自分の器にほんの少しの塩とゴマ油を入れる。
(2)鍋の汁をすくい入れて(1)をとく。(ここで自分好みの味を探すのも楽しみのひとつです)
(3)(2)に鍋の具材を入れて食べる。
塩とゴマ油で調味するのがこの鍋の王道とのことですが、私は個人的に一味唐辛子やラー油、ゆず胡椒、ポン酢など使って様々な味を楽しんでいます。
お好みで春雨を加えれば、食べごたえがアップ。最後は中華めんや雑炊で〆るのがおすすめです。スープに白菜と椎茸、鶏のうまみが凝縮されているので、最後の一口までおいしく味わえます。

おかず感覚で食べられる、具だくさんのスープとしても今夜の一品にどうぞ。
この冬は、「ピエンロー鍋」で、心も体もぽかぽかに。笑顔が広がる、あたたかな時間をお楽しみください。
文責:管理栄養士 高原 功江
※詳しくは本紙をご覧ください。

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