健康 健康だより(2)

【今年のインフルandコロナワクチン】
―効果・安全性と町の助成制度―

■インフルエンザワクチンの新しい選択肢
今年のインフルエンザワクチンは昨年度までと大きく変更があります。これまでの⽪下注射のワクチンに加えて、2歳以上から19歳未満までの⽅を対象に、経⿐ワクチン「フルミスト」の接種ができるようになりました。
フルミストは、⼈の体温では増殖せず低温(25度)で増殖するように弱毒化された⽣ワクチン(※1)で、⿐にスプレーするタイプのワクチンです。

○痛みが少なく、効果が長く続く
⽪下注射のワクチンは⼗分な抗体を作るために12歳以下のお⼦さんは2回接種が必要でしたが、フルミストは⽣きたウイルスを接種するため1回だけで済みます。効果は約1年間と⽪下注射の2倍も持続します。さらに⽪膚への注射で痛い思いをしなくてすむため、お⼦さんの負担が少ないのも⼤きな特徴です。
欧⽶では20年以上も前から実⽤化されており、安全性・有効性も確⽴されています。

○気になる副反応と注意点
気になる副反応としては、⽪下注射ワクチンと同じく発熱などの⾵邪症状に加え、点⿐ワクチンのため半数の⽅に⿐⽔や⿐づまりといった⿐炎が起こります。この症状は免疫反応が主体で、数⽇で良くなります。飲み込んだり、⿐をかんでも⼤丈夫です。
なお、弱毒とはいえ⽣ワクチンですので、ごく稀に同居者に感染することが報告されています。タミフルなどの抗ウイルス薬が効きますが、免疫不全の病気やステロイドの内服治療(吸⼊薬や点⿐薬は除く)を受けている⽅と同居しているお子さんは、皮下注射ワクチンの接種をお願いすることになります。
同じ理由で、妊娠中や妊娠する可能性のある方、授乳中の方、2歳未満のお子さんと同居されている場合も、皮下注射ワクチンを接種して頂きます。また上記の方との面会は接種後2週間程度は控えて頂きます。
この他にも皮下注射ワクチンと同じく、咳などの風邪症状や喘息発作を起こしている方は接種できません。また、当日鼻炎がある方(治ったら接種可能です)や診察室で大泣きして鼻水がたくさん出てしまったお子さんには、効果がなくなるため皮下注射のワクチンを接種して頂くことになります。
このような制限はありますが(詳細は予約時にご確認下さい)、何より痛くない、1回で済む、効果も長く続くことから、2歳以上から19歳未満の⽅で、ワクチン接種を希望される場合は、「フルミスト」の接種(※2)となります。

○助成で安心、接種を後押し
フルミストは⽪下注射の約4倍近くもする⾼価なワクチンですが、豊頃町独⾃の助成により、町民の皆様の負担額は⽪下注射ワクチンと同じく、道内はおろか国内でも見当たらない料金です。
(接種費用8,000円のうち町が6,500円を助成するため、自己負担額は1,500円です)

~接種に関する補足~
※1 同じく低温で増殖するよう弱毒化したワクチンには帯状疱疹の⽣ワクチンがあります。
※2 フルミストは他のワクチンとの接種間隔を空ける必要がなく、接種歴や予定にかかわらず接種可能です。

■コロナウイルスの最新状況
今年度は春先に中国から始まり欧⽶でも爆発的に増えたコロナウイルスのオミクロン株の亜株NB.1.8.1(通称…ニンバス)の感染が道内でも拡がっています。
ニンバスは従来株と毒性は変わらないものの、一昨年の冬に猛威を振るったJN.1株よりも感染を拡げる伝搬能⼒が圧倒的に⾼いのが特徴です。

○新しいワクチン「ヌバキソビッド」
今年のコロナウイルスワクチンは、過去にコロナワクチンを接種したことがない6歳から11歳の⽅、及び12歳以上の方を対象に従来のmRNAワクチン「コミナティ」ではなく、遺伝⼦組換えタンパクのワクチン「ヌバキソビッド」を接種できるようになりました。
このワクチンはこの春に流行したLP.8.1株のSタンパクで、ウイルス遺伝⼦からSタンパク遺伝⼦だけを切り出してから作ったので組換えと呼ばれており、mRNAワクチンのように強い副反応はなく、インフルエンザワクチンと同程度の副反応にとどまります。

○幅広い株に効果あり
ヌバキソビッドはニンバス株とは異なるものの、JN.1系統に属しており、最新のデータでは幅広い株に対して⾼い中和能⼒を持つ抗体が作られることが分かっています。
未だ重症化・死亡者数が最も多いコロナウイルスの感染・重症化予防のために、特に65歳以上の⽅に「ヌバキソビッド」の接種を推奨いたします。
接種回数は、すでにmRNAワクチンを受けた⽅は1回です。
なお、生後6ヶ⽉〜6歳未満の⽅、6歳から11歳で過去にコロナワクチンを接種したことがある方で接種を希望される場合は、従来の「コミナティ」となります。

○接種費用は安心の助成制度
インフルエンザワクチンと同様に、コロナワクチンについても豊頃町の助成により負担額はとても少なくなっています。(接種費用は、15,840円ですが、町の助成により65歳以上は1,000円、19~64歳は5,000円、生後6か月から18歳は2,500円で接種できます)

予約や詳細については、豊頃医院までお問い合わせください。

■コロナウイルスをもうちょっと詳しく
Q:ニンバスの感染力が強いのはなぜ?
A:コロナウイルスはウイルス粒⼦の表⾯に、トゲのようなスパイクタンパク(Sタンパク)がたくさん出ており、このSタンパクが⼈の細胞に結合して細胞のなかに侵⼊します。ニンバスの⾼い伝搬能⼒はSタンパクの遺伝⼦にこれまで以上に細胞によく結合するような変異が⼊ったことが理由の⼀つとされています。

Q:ヌバキソビッドの副反応は低い?
A:タンパク質から作られた組換えタンパクワクチンなので、mRNAワクチンのように細胞のなかで増えたりせず、すぐに分解されるため、副反応もmRNAワクチンのように強い反応はなく、インフルエンザワクチンと同程度です。

参考資料:第3回厚生科学審議会 予防接種・ワクチン 分科会 研究開発及び生産・流通部会 季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会

問い合わせ先:役場福祉課健康係
【電話】574-2214