くらし 【特集】「なりたい」を叶えられるまち(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 青森県むつ市
- 広報紙名 : 広報むつ 令和7年5月号
■八戸学院大学 健康医療学部看護学科 開校
平成16年に田名部高校衛生看護科が閉科となって以来、下北地域は看護師養成施設の空白地区となっていました。そのため、むつ市からは、毎年20人以上が市外施設へ進学し、概ね半数は県外へ就職しています。
また、市外進学後に地元へ戻って就職する割合が少ないことから、市内では看護師不足が顕著となっており、むつ総合病院では入院患者の受け入れを制限しなければならない事態が生じています。
その中で、八戸学院大学むつ下北キャンパスの開校は、看護師を目指すこどもたちが、生まれ育ったまちで学び、就職し、地域の医療を支えるという新たな仕組みを構築します。
今回の特集では、「なりたい」を叶えられるまちをテーマに、開校した八戸学院大学むつ下北キャンパスと学生を応援する取組をご紹介します。
◇入学金・学費(4年間)全額貸与
一部事務組合下北医療センターでは、卒業後、看護師としてむつ総合病院に10年間勤務することで4年間の学費(約640万円)が返還免除となる修学資金制度を新たに創設しました。
これまでは、看護師を目指すには市外へ転出することが必須でしたが、市内に通えるキャンパスがあれば実家から通学ができるため、費用面において負担が大きく軽減されます。
また、八戸学院大学むつ下北キャンパスの開校は、現役の高校生だけではなく、Uターンを考えている社会人の再チャレンジを後押しすることにも繋がります。
地元での仕事先が見つからないなどの不安を感じることなく、集中して看護師を目指すことができるように、看護師に「なりたい」をもっと自由に選択できる環境が整いました。
◇学びながらむつ総合病院で現場を知る
八戸学院大学むつ下北キャンパスの学生は、土日や夏季休暇期間など、修学中でもむつ総合病院へ看護助手として勤務し、経験を積むと同時に収入を得ることができます。
基本8時30分から17時15分(うち休憩60分)までの勤務ですが、勤務時間の短縮が可能なため、学業の妨げにならない範囲で、食事の配膳、車いすや入浴の介助、付き添いによる院内移動の補助などの業務に従事することができます。
◇八戸学院大学むつ下北キャンパス長 健康医療学部看護学科 木村 緑(きむら みどり)教授
八戸学院大学むつ下北キャンパスは、少人数のサテライトキャンパスというところを強みに、学生一人ひとり個別に関わりが持てることが特徴だと感じています。
当校が開校したことにより、今まで地域に育ててもらった学生たちには、地域の特色を理解して健康をフィードバックできるような学びがあることを期待しています。
下北地区に特化した健康課題等を基礎演習とし、将来の就職を見据えたむつ総合病院での看護実習など、学生のうちから地域に出て経験を積んでもらいたいと考えています。
■Department of Nursing 少人数制の講義 充実した実習設備で看護の基礎を身に着け 病院実習で実力を伸ばす
この春、新入生として入学した3名に、新しいキャンパスへの想いや看護師を目指したきっかけ、社会人の新たなチャレンジなど、お話を伺いました。
◇生まれ育ったまちの大切な人たちへ、自分だけの「看護」
阿萬:八戸学院大学むつ下北キャンパスは、実家から通えるというところが一番の魅力です。また、卒業後に地元で就職することによって、大切な人や慣れ親しんだ地域の人たちの健康を守ることができるというところも嬉しく思っています。
佐藤:私が看護師を目指したのは、自分の身近な人が病気になった時、声をかけて寄り添ってくれた看護師の方が忘れられず、私も看護師になりたい!と思ったことがきっかけです。けがや病気の治療はもちろん、心までケアできる看護師になりたいです。
阿萬・佐藤:就職まで整った環境の中、資格取得に向かって一生懸命頑張りたいです。
◇むつ総合病院で2年間准看護師として勤務
・現場での経験があるからこそ学ぶことの大切さを感じる 蒔苗 周(まかなえ しゅう)さん
社会人経験のある入学者は数人のみで、世代の違う学生生活は少し不安ですが、自分の知識や技術を磨くために頑張りたいです。
むつ総合病院に勤務しながらの通学で不安はありますが、現場で見て覚えたこと、業務として経験したことを改めて詳細に学べることはとても利点だなと感じています。
病棟では、私たちを気遣ってか、調子が悪くても隠す患者さんに出会うことがあるんです。病状や変化を隠してしまうと、回復してきても悪化する恐れがありますし、正直にお話ししてもらいたいです。このような体験から、私は患者さんに気を遣わず何でも話してもらい、心を開いて信頼される看護師になりたいと思っています。
今後の目標としては、まず正看護師を目指して学び、その後も医療に関わる様々な資格を取得したいと考えています。