くらし 町政ここが聞きたい 議会だより(2)

◆竹内 富士子 議員
(1)いじめ防止条例の制定について
(2)食料やエネルギー自給率向上、企業誘致について

問:(1)いじめが発覚しにくい理由として、いじめに遭う側に三つの心理があるという。
一つ目は、人に知られたくないということ。いじめられていることは恥ずかしいことで、できれば人に知られたくないという気持ち。
二つ目は、親に心配をかけたくないという思い。これは親としてはつらいものであるが、子どもは親に心配をかけまいとして、学校で起こっていることを隠し、何もなかったような顔で親と向かい合う。
そして三つ目は、報復に対する恐怖心。先生や親に報告することで、さらにいじめがエスカレートするのではないか、そのときに誰からも守られないのではないかという恐怖心があるという。以上の三つの理由により、いじめの発覚まで時間がかかってしまうのだという。
いじめは決して特別なものではなく、どこにでも起こり得るものであり、誰もが当事者になり得るものであるとの認識に立つ必要がある。そして、今日では、いじめは子ども対子どもの話し合いだけではなく、その根本的な解決のためには、親や教員、学校、教育委員会、地域社会、自治体がこれに問題意識を持って、力を合わせて取り組む必要があると考えられている。
そこで、一点目として、本町におけるいじめの現状について、また、本町としてどのように取り組んでいるか。
二点目として、他市町村に倣い、いじめ防止条例を制定すべきと考えるがいかがお考えか。

答:(1)(教育長)
一点目の本町におけるいじめの現状だが、文部科学省に提出している調査においては、令和四年度は小学校三件、中学校六件、令和五年度は小学校五件、中学校一件となっている。
次に本町としての取り組みだが、「いじめ防止対策推進法」を受けて「大鰐町いじめ防止基本方針」を策定し、それに基づいて本町小中学校では実態に応じた「いじめ防止基本方針」を策定し、各校教職員が共通理解を図りながら対応している。
なお、「いじめ防止対策推進法」施行から十年以上が経過したが、全国的に重大事態の発生件数が令和四年度に過去最多となっている。また、重大事態調査の実施時に係る様々な課題が明らかになっていることから、今年八月、文部科学省は、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を改訂した。
今回の改訂においては、特に「重大事態調査への学校や関係者の対応をより明確化」と、「円滑適切な調査の実施及びいじめ対象児童生徒や保護者等に寄り添った対応」を促すこととしている。本町でも改訂の主旨を活かした取り組みを実施していきたいと考えている。
二点目について、青森県内において、「いじめ防止条例」を制定している市町村はないが、八戸市が十二月定例会に条例案を提案したと聞いている。これについては、全国的にも早い動きとなっており、多くは各市町村の「いじめ防止基本方針」を基にいじめ防止に取り組んでいるところ。
本町においても、今のところ条例制定は行わず「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」改訂の主旨を活かし、「大鰐町いじめ防止基本方針」を改訂し、いじめ防止に努めていきたいと考えている。いじめ問題は複雑化しているため、国や他市町村の動向を常に注視しながら、今後もいじめ防止についての十分な取り組みを小中学校に促していく。

問:(2)一点目、稼げる農業の復活のための農地集約化の進捗状況についてと減反についての考えを伺う。二点目、企業誘致対策について、土地の値段を下げるという対応は可能か。また、これまでの対策と課題について伺う。三点目、エネルギー供給についての考えについて伺う。

答:(2)(町長)
一点目、当町においては、高齢化や人口減少により、今後農業者の減少や耕作放棄地が拡大し、農地が適切に利用されなくなることが懸念されている。そのため、農作業の手間や時間、生産コストを減らすことができるよう、農地の集約化等に取り組んでいく必要がある。
この取組を推進するため、将来の農業経営や農地の集約化を目視できる「目標地図」を含む、地域計画を今年度末に策定する予定。策定にあたり、各地区で座談会を開催し、幅広い意見を聴取しながら、より良い計画の策定に努めるとともに、策定後においてもその実現に向け、地域内外から農地の受け手を確保するため、農地バンクを活用しながら農地の集約化を推進していく。
次に減反について、国の米政策の見直しにより平成三十年に減反政策が終了となり、現在、米の生産は県や関係団体で構成する青森県農業再生協議会が定める「生産数量目標」を基に需要に応じた生産に取り組んでいる。人口減少や食の多様化により米の消費量が減少している中、食料自給率の向上のため、水田を活用し、需要のある麦、大豆、野菜や飼料米への作付け転換による国の交付金を活用しながら、生産者を支援しているところであり、今後も国・県、関係機関の動向を見据えながら農業施策に取り組んでいく。
二点目、今年度、八幡館農工団地で販売している区画は、一区画、約一万一千平方メートルとなっており、随時募集として、町ホームページ及び県ホームページの「青森県産業立地ガイド」に工業団地情報として掲載され、価格については不動産鑑定を元に設定し、応談可能としている。八幡館農工団地に関する問い合わせは毎年数件あり、売却に向けた動きを進めている。
また、毎年県主催の企業誘致に係る研修会に職員を参加させ、効果的な企業誘致に関する情報収集に努めている。工業団地の課題としては、開発許可の条件が工場のみとなっており、募集要件が限られている点が挙げられる。町内に働く場所を増やすため、今後も積極的に企業誘致に努めていく。
三点目、我が国は、国内資源によるエネルギー自給率が諸外国に比べ極めて低い水準となっている。日本は、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料の大部分を輸入に頼っており、国際紛争や円安などにより、燃料価格高騰などの影響を受けやすいといったデメリットがある。町としては、エネルギー供給に関する国、県の今後の動向を注視しつつ、省エネの推進を図っていく。