- 発行日 :
- 自治体名 : 青森県風間浦村
- 広報紙名 : 広報かざまうら 2025年8月号
■元気な今だからこそ、家族とゆっくり話そう
副院長 工藤稜顕
みなさんこんにちは。大間病院の工藤です。
暑い日が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
さて、日々の暮らしの中で、「もしものときのこと」を考える機会はあまりないかもしれません。でも、年齢を重ねるにつれて、少しずつ将来の体調や生活のことが気になってくるものです。
今回は、前回に引き続き、そんな“もしも”に備えるお話「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」について書きたいと思います。
ACPとは「これからの医療やケアについて、自分の希望を前もって考え、家族や医療者と話し合っておくこと」です。たとえば、「延命治療はどこまで希望するか」「最期はどんな場所で過ごしたいか」など、自分の思いや価値観を共有しておくことで、いざというときに慌てずにすみます。
少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は特別なことではありません。
たとえば、病院で「ご本人の希望がわからない」とご家族が困ってしまう場面はよくあります。「本人はどんな治療を望んでいたんだろう」と悩むのは、とてもつらいことです。でも、事前に話し合っておけば、ご家族も迷わずにすみますし、自分の気持ちがきちんと届く安心感にもつながります。
また、ACPは“最期のため”だけの話ではありません。
転んで入院したとき、認知症が進んできたときなど、日常のささいな場面でも「自分らしさを大切にしたい」と思う瞬間があります。そうしたときにも、あらかじめ気持ちを整理しておくことが役に立ちます。
始め方はとてもシンプルです。まずは、ご家族との普段の会話の中で、「こういう時、私はこう思うんだよね」と気持ちを伝えてみるところからで大丈夫です。元気なうちだからこそ、ゆっくり話せるのがACPの良いところでもあります。
いざというときの安心は、「今」から少しずつ準備しておけます。
ぜひ、これからの人生をより自分らしく過ごすために、ACPについて話す時間を持ってみてくださいね。
それでは、みなさん、素敵な夏をお過ごしください。