くらし 〔特集〕市政20周年 一関市のこれまでとこれから(2)

■わたしといちのせき
○一関市ってどんなまち? こんなまちであってほしい! 市民の声を聞きました。
〔一関〕
吉田 捺(なつ)さん(25)
団体職員 任意団体ICHINOWA会長
若者同士のつながりをつくろうとICHINOWA(イチノワ)を立ち上げました。東日本合唱祭に携わっているほか、一関の良さを知ってもらうイベントをやってみたいです。若者は力不足な部分もありますが、支援や団体同士のネットワークがあれば可能性が広がります。一関をいろいろなことに挑戦できるまちにしていきたいです。

〔千厩〕
小野寺 哲(てつ)さん(51)
千厩地区まちづくり協議会職員 アマチュア野球公認審判員
まちづくりに関わるようになって約8年。旧市町村の線引きがなくなったことで活動がしやすくなり、結束の強まりを感じています。一生懸命なプレーを応援したいので、自分も大好きな野球の審判員として選手たちの成長を見守っています。いろいろな分野で市民が活躍することで、一関市の全国的な知名度が上がってほしいです。

〔花泉〕
石川 涼(りょう)さん(27)
会社員
東京で8年間働いた後、昨年末に帰郷して結婚し、新生活を送っています。相談相手の母にすぐ会えるのが心強く、お店も増えて住みやすさも感じています。Uターンで不安だったのは就職のことでした。私自身は経験を生かせる仕事に巡り合えましたが、一度地元を離れても、戻ってきやすいまちになっていってほしいと思います。

〔室根〕
河合純子(じゅんこ)さん(50)
ラジオパーソナリティー
八つの地域が一つになったと実感できることが多くなりました。ラジオや新聞で全域の情報が届き、身近な話題だと感じられます。まちは大きくなったけれど少子化が進みました。地域のこどもたちがやりたいことを、大人がバックアップしなければ。交通の便がもっと良くなり、市内をよりラフに行き来できるようになるといいですね。

〔東山〕
佐藤彩子(さいこ)さん(72)
Makurameリン代表
合併した20年前はピンとこなかったのですが、今は大きな地域同士がつながりを深められていると感じています。5年前から独学で始めたマクラメ(手芸)が面白くて仕方がありません。みらい塾交流館「輝楽里(きらり)」を拠点に、やりたいという人と一緒に作品作りを楽しんでいます。顔を見ながら交流できる場所があるのはありがたいです。

〔藤沢〕
千葉衆望(しゅうぼ)さん(35)
会社員 MFJ岩手部会長
11年前に関東から帰郷し、仕事のほかモトクロスの大会運営など、選手経験を生かしライダー目線で携わっています。この活動を通じ、われわれ世代が地元の活性化に踏み出せる環境をつくり、若者が主体となって地域を引っ張っていくことが必要だと感じています。さらに、市内の各スポーツ施設の利用促進にも力を入れてほしいです。

〔川崎〕
菅原美帆(みほ)さん(46)
会社員
中国出身で、27歳の時に日本に来ました。次女を出産後、野菜の生産・販売をする会社に入って14年。学校給食担当として自慢の葉物野菜を給食センターに届けています。子育てしながらの就職は不安でしたが、とても雰囲気のいい職場で楽しく働いています。人の優しさと、自然環境の良さが一関市の魅力だと思います。

■このときから10年、今の一関市はどうですか?
10年前の本誌に登場してくれた大東の千田さん親子。
10歳だった慎之介さんは20歳になり、古里を離れ首都圏で働いています。
父秀明さんは息子の成長を喜びながら、地元ではつらつと家業を営んでいます。
「20歳になった慎之介君が見る一関はどんなまちになっているだろう」
当時の誌面は、このように未来に思いを巡らせています。
今、2人の目に一関市はどのように映っていますか。

〔大東〕
千田秀明(ひであき)さん(53) ガソリンスタンド勤務
○こどもたちに教わった「一体感」
会社員だった10年ほど前、一関商工会議所青年部の「地域を盛り上げよう」と活動するものすごい熱量に衝撃を受け、自分も地元に貢献しようと興田地区振興会の職員に転身。約7年間、さまざまな地域づくり活動に取り組みました。同時に、有志と協力して祭りを開くなどして、住民が交流するノウハウを蓄積できたと感じています。
4年ほど前に家業を継ぎました。地域での活動に手ごたえを感じる一方、「ガソリンスタンドがなくなってしまっては地域が廃れる」という危機感が募ったためです。これからは店を守ることで地域の役に立ちたいと思っています。
子育てに関わってきて思うことは、合併した一関市で育ったこどもは大人ほど地域の垣根を感じていないということ。自然に「一関市は一つ」という意識でいます。一体感はしっかり育っていると、こどもたちの姿から気づかされました。

千田慎之介(しんのすけ)さん(20) 会社員
○ずっと温かいまちで
高校を卒業後、地元を離れて働いています。小学生だった10年前に比べ、見える世界はかなり広がりました。
遠い場所から改めて一関市のことを考えてみると、まちは成長を続け、以前よりも活気づいているように感じます。人口が少ないからこそ、一人一人の輝きがより強調されているような気もします。一関市は人と人とのつながりが強く、とても温かいまち。古里を離れた今、それを実感しています。
これからの一関市について、子育てなどをする若者への支援が手厚くなればいいと思います。こどもが成長する下地がしっかりしていれば、未来はきっと、もっと良くなるのではないでしょうか。今は経験を積み、社会人として一人前になれたら、将来は地元に帰ることも視野に入れています。いつ帰ってきても、温かく迎えてくれるまちであってほしいです。

※詳しくは本紙をご覧ください。