- 発行日 :
- 自治体名 : 岩手県一関市
- 広報紙名 : 広報いちのせき「i-Style」 令和7年12月号
■火災の原因を知り、予防に役立てよう
令和6年(1~12月)の市消防本部管内の火災統計が令和7年7月に発表されました。市内の火災発生の状況と、本年全国的に発生した林野火災を振り返り、火災予防を考えます。
▽最多は建物火災
市内の火災発生件数〔表1〕は前年と同じ45件でした。このうち建物が21件(前年20件)と最も多く、次いで林野5件(同9件)となっています。火災による損害額〔表1〕は建物が9470万7千円(同1億6276万9千円)、総額は9731万4千円(同1億8580万2千円)で、前年から約半減しました。
火災による死者は3人(同2人)、負傷者は5人(同12人)でした。火災が起こると人の命や身体に被害が及ぶ危険があります。火災を絶対に出さないという心構えが必要です。
〔表1〕令和6年火災発生件数と損害額
( )は前年

▽5年連続「たき火」がトップ
火災原因〔表2〕を見ると、全45件のうち最多だったのはたき火の12件でした。過去5年間の統計でも常に原因のトップです。住宅近くの畑や空き地などで行われることが多く、少し目を離した隙に周囲に延焼したり、火の粉が飛んだりして発生しています。
このほか「不明調査中」「その他」を除く原因は、「排気管」「電灯・電話などの配線」「火入れ(枯れ草焼きなど)」がそれぞれ3件、「たばこ」「電気機器」「放火の疑い」がそれぞれ2件でした。
「電灯・電話などの配線」が原因の火災は、屋根裏や家具の裏側など、日常的に確認できない場所が出火元でした。定期的な点検や専門業者などへの相談が重要です。「火入れ(枯れ草焼きなど)」は、水田や山際などで多発しています。水田のあぜに何カ所も火入れし、風などにあおられて延焼した結果、手に負えなくなるケースなどが多く見られます。火をたくと上昇気流が発生するため、風が吹き込み、火の勢いが強まります。さらに、火の粉が周囲に飛んで延焼し火災に発展します。
なお、火入れを行う場合は、7日前までに市長への届け出が必要です。森林法に基づく許可となり、市役所では本庁林政推進課が担当しています。また、火災と紛らわしい煙が出る可能性がある場合や火災を発する恐れのある行為については、事前に消防署または分署に届け出が必要です。
令和6年は「放火の疑い」も2件発生しています。敷地内でも、野外にごみ袋などを放置しない、農機具の燃料を外に置かないといった対策が必要です。
〔表2〕令和6年⽕災原因と地域での発⽣件数

▽自宅の住警器は大丈夫?
住宅用火災警報器(住警器)の設置は、平成22年に義務化されました。電池や器具の寿命は約10年といわれています。皆さんの家庭に設置している住警器も交換の時期になっている可能性があります。火災予防は、常日頃の備えがとても重要です。冬の火災多発期を迎える前に、一度確認してください。
▽大規模な山火事が全国で多発
令和7年には全国で大規模な林野火災が発生しています。大船渡市では2月19日に発生した林野火災を皮切りに、同月26日には国内でも最大規模となった約3万370ヘクタールを焼失する林野火災が発生しました。同日には山梨県大月市で、2日後の28日には長野県上田市で、3月23日には愛媛県今治市や岡山県岡山市でも大規模な林野火災が連続して発生しました。
大船渡市の林野火災は3月9日に鎮圧状態(火災の延焼などが止まっている状態)となりましたが、完全な鎮火を確認したのは発生から40日後の4月7日でした。この間、同市は人口の約1割に当たる4600人に避難指示を発令しました。この火災により、住家90棟(全壊54棟)、非住家135棟(同121棟)が焼損したほか、逃げ遅れたとみられる90代の男性が亡くなっています。
▽林野火災、なぜ拡大?
大船渡市の林野火災はなぜ拡大したのでしょうか。火災原因は総務省消防庁などが調査中ですが、同庁の「大船渡市林野火災の概要」によると、火災当日は強風注意報が出ており、最大瞬間風速は20メートルだったと記録されています。また数日前から降雨がほとんどなく、空気が乾燥した状況でした。落ち葉や枯れ枝なども乾燥し、非常に着火しやすい状況であったと推測されています。
さらに、火災拡大の要因として、急傾斜地が多く、スギやマツなど可燃性の高い樹種が多い地域であったことも挙げられます。火が木の上方に燃え広がり、上昇気流の影響などを受け、延焼が拡大したとみられています。
山間地帯の多い本市においても、同様の火災が発生する可能性があります。日頃から注意が必要です。
▽地域で用心!たき火と火入れ
市消防本部管内の過去の火災発生状況を時期別に見ると、ストーブや暖房を使用する冬季と農作業などの外作業が増える春先などに火災が多く発生しており、年間の火災発生件数の5割〜7割がこの時期に集中しています。一方で、冬の火災原因の代表とみられていた「こんろ」や「風呂かまど」を原因とする火災が令和6年には発生しておらず、生活様式の変化や暖房・風呂設備の安全性が向上したものと考えられます。
本市の場合は、火災原因のトップである「たき火」や「火入れ(枯れ草焼きなど)」の対策が火災防止に直結します。「そのたき火は必要か、大丈夫か」と家族や地域などで考え、住民の運動として火災を起こさないよう取り組むことが大切です。
■なのはな隊活躍中!
一関市消防団には、女性団員で組織する「なのはな隊」があります。隊員は各地域本部や分団に所属する傍ら、普通救命講習や市民向けの広報活動などの際に指導者として活動しています。
隊員たちは市消防本部が行う市防災指導員(AID)養成講習に参加するなど、地域防災のためのスキルアップに励んでいます。また、小売り施設やイベント会場に出向いて消防団の紹介や入団募集のPRを行っていて、この活動は県内他市町村消防団からも高く評価されています。8月2日には平泉町消防団の女性団員との交流会を実施し、活動発表や非常食の作り方の指導法などの研修を行いました。
隊員になるには、地元の消防団地域本部または分団への入団が必要です。入団後に活動情報をお知らせします。興味がある人は、まずは入団をお願いします。
問合せ:一関市消防団(市消防本部総務課内)
【電話】25-5910
