くらし 【特集】考えませんか?空き家モンダイ(1)

空き家問題が深刻化しています。
それは私たちの身近に、すでに自分自身にも、起こっているかもしれません。
将来の自分のため、こどもたちのため、地域のために。
この問題の解決方法、考えませんか。

■空き家が増加しています
全国で空き家が増えています。日本全国の空き家は2023年時点で900万戸あり、2018年の前回調査から51万戸増加し過去最多となりました。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.8%で、こちらも過去最高です。
空き家数、空き家率ともに増加傾向が続いており、空き家数は1993年からの30年間で2倍以上になりました。今後、日本の人口は減少していく見込みのため、さらに空き家の数が増えていくことが予想されます。

●全国の空き家数および空き家率の推移

●空き家を放置し続けると…

●現状~何がモンダイになっている?
市は、2024年度末時点で2499戸の空き家を把握しています。その中には、外壁が崩れていたり樹木が生い茂っていたり、そのままでは居住できない状態にまで荒廃している空き家も少なくありません。
空き家が生まれる要因は人口減少、核家族化の進行などで、発生自体を食い止めるのは難しいのが実態。問題なのは放置されたまま適切な管理がされない物件が増えてしまうことです。
市には空き家に関する相談が年間100件以上寄せられています。その多くは「所有している空き家をどうしたらよいか分からない」「近隣に適切に管理されていない空き家があり困っている」といった内容です。苦情があった空き家などは、市から所有者に対して適切な管理を依頼していますが、なかなか対応がされないのが現状です。
建物所有者(または相続人)には空き家の管理責任があります。放置すると家は傷み、防災面での危険が高まるほか、防犯面の懸念や衛生面でも問題が生じ、景観を損ない、周辺住民の迷惑となります。
国の空き家対策も強化され、「特定空家等」になる前段階の「管理不全空家等」が新たに定義されて指導の対象になったほか、指導に従わず勧告を受けると土地の固定資産税の優遇措置が解除されるペナルティーも。空き家にかかるリスクとコストをよく理解し、適切な管理をすることが求められます。

▽空き家を放置するリスク
隣地・道路への樹木の越境:進行の妨げなど
雑草の繁茂、落ち葉の飛散:衛生面や景観上の問題
屋根材や外壁の劣化やズレ:落下・飛散の恐れ
窓ガラスやドアの破損:不法侵入・不法滞在

●対策~元気なうちに家の「終活」考える
空き家問題は他人事ではありません。自分の親や親族が亡くなり、住む予定のない空き家の所有者になる可能性があります。自分自身が亡くなった後、こどもやきょうだいが空き家の管理に頭を悩ませるかもしれません。相続人への「負の遺産」にしないためには、家の将来を決めておくことが重要です。(1)登記を確認(2)家族などで話し合う(3)困ったら専門家に相談―の三つの手順で、わが家をどのように次世代に引き継ぐかを考えましょう。

(1)登記を確認
土地や建物には登記があり、所有者が記録されています。まずは登記簿に載っている所有者(名義人)が、現在の所有者になっているか確認しましょう。以前は相続登記の義務がなかったため、登記されていなかったり、昔の所有者のままになっていたりするケースがあります。その場合、相続や売買が困難になることがあります。
不動産登記簿は法務局または市役所本庁で取得できます。
窓口:一関法務局証明サービスセンター(市役所本庁1階)平日9時~16時30分(正午~13時を除く)
*登記がない場合は、法務局や司法書士に相談しましょう

(2)家族などで話し合う
「この家をどうしたい?」。家の所有者や相続人になり得る人などで集まり、家の将来について話し合ってみましょう。いざ相続が必要になった場合には、決めること、やることがたくさんあります。引き継ぐ人の負担を減らすためにも、「まだまだ元気だから」と後回しにせず、意見交換を重ね、家の生かし方、しまい方について備えておくことが重要です。

(3)困ったら専門家に相談
不動産登記の確認や手続き、相続人の権利関係の把握、遺言書の作成などは専門的な知見が必要です。それぞれの悩みに応じて、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。相談先が分からない場合は、市役所本庁生活環境課に問い合わせてください。

●空き家の所有者になったら
▽〔重要〕必ず相続登記!
・空き家を相続したら、相続人への名義変更(相続登記)が必要です
・2024年度から相続登記が義務化されました。所有権の取得を知った日から3年以内に正当な理由なく手続きをしなかった場合、10万円以下の過料が科されることがあります
※相続登記をしなかったため相続人が多数になり、対処が困難になっている空き家があります。忘れずに手続きをお願いします

▽管理はしっかりと
・建物が傷まないよう、定期的に通風、換気、通水、掃除をしましょう
・近所の迷惑にならないよう、草取り、庭木の剪定(せんてい)をしましょう
・自身で管理が難しい場合は、民間業者の管理サービスを活用しましょう
※管理が行き届いていない空き家が原因で隣の家を破損したり、通行人に損害を与えたりした場合、所有者が損害賠償責任を負うこともあります

▽売却、賃貸を考えよう
・空き家を使用する予定がない場合は、売却や賃貸などについて不動産業者に相談しましょう
・老朽化が進むと修繕や改修に要する費用が増え、買い手が見つかりづらくなります。早めの相談が重要です
・市は、空き家バンク制度を設け、空き家を移住定住の受け入れによる地域活性化のために活用しています
〔市の補助金〕
空き家バンク登録住宅改修等補助金制度…空き家バンクに登録した物件を利用するために行う改修工事などを対象に、最大200万円を補助(要件あり)

問合せ:本庁交流推進課
【電話】21-8194

▽解体の検討も選択肢に
・空き家の老朽化が進み、活用が難しければ解体を検討しましょう
・解体して更地にすることで、その土地を売却できたり周辺住民が引き取ってくれたりする可能性があります
・空き家の中にある家具などの残置物を自分自身で片づけることで解体費用が安くなります
〔市の補助金〕
空家等解体工事資金利子補給補助金…空き家の解体工事資金を市内の金融機関から借り入れた場合の利子相当額を補助

問合せ:本庁生活環境課
【電話】21-8344