文化 小岩井駅舎 市内初の国登録有形文化財に~過去と未来をつなぐ集いの場~

8月6日、小岩井駅の駅舎が、市内で初の国登録有形文化財(建造物)に登録されました(登録名称…JR田沢湖線小岩井駅本屋(ほんや))。本文化財は、東日本旅客鉄道(株)管内の現駅舎としても初の登録で、県内の国登録有形文化財(建造物)としては109件目の登録となります。

■小岩井駅の歴史
小岩井駅は、大正10年の開業から、100年以上という長い歴史の中で地域住民の足や観光の玄関口として利用されてきました。
大正11年には、宮沢賢治(みやざわけんじ)が開業したばかりの小岩井駅(当時の小岩井停車場)を下車し、小岩井農場を訪れたとされています。また、賢治は「春と修羅」長篇詩「小岩井農場」で当時の小岩井停車場を「つつましく肩をすぼめた停車場」と表現しています。
しかし近年は、狭い待合室に加え、築100年以上が経過した駅舎の老朽化が課題となっていました。そこで、歴史的価値を残しつつ、地域住民の交流の場や観光の拠点として活用したいという思いから、文化財登録を目指し、東日本旅客鉄道(株)や小岩井農牧(株)の協力の下、復元改修工事を実施することとなりました。

■復元改修工事
復元にあたっては、過去の駅舎のモノクロ写真を基に、Aによる復元技術を活用し、建材や色合いを選定しました。また、駅舎内にはJ車両(東日本旅客鉄道(株)提供)のシートをリメークしたベンチ、開業と同年代の木材を一部使用した椅子やテーブル、同樹齢の木材を使用した駅名標を小岩井農牧(株)からの寄贈により設置。開業当時の雰囲気を再現したデザインが随所に施され、レトロな空間が魅力的な新たな姿に生まれ変わりました。
さらに、J小岩井駅活性化事業として、駅舎の改修を含む駅前広場やトイレの改修などの一体的な整備が評価され、(一社)全日本建設技術協会主催の令和6年度全建賞(インフラの部)を受賞。関係者が一体となって事業に尽力したことが成果を残しています。
★改修工事や復元記念式典の詳細は、令和6年広報たきざわ3月号7ページ参照

■交流の場として
工事終了後には市が管理者となり、清掃などの業務を小岩井自治会に委託しています。
小岩井自治会では毎年、ふうりん保育園の園児による植栽や小岩井駅を活用した祭りを企画するなど、地域に根ざした活動を積極的に行い、小岩井駅舎を地域の温かい交流の場にしています。
また、さまざまな団体が地域サロンやパン販売、ハンドマッサージの出店などを行い、人々が集う場所としての活用も広がっています(※)。
※使用用途などにより使用料が設定されています。詳細は市都市政策課へ問い合わせてください。

■地域のシンボル
小岩井駅は、国の登録有形文化財としてはもちろん、地域住民の交流の場・観光の拠点としても、歴史と文化を未来へつないでいきます。
皆さんも、大正レトロと現代の技術が調和した空間で、その魅力に浸ってみませんか。

■登録記念イベントの様子を11月号で紹介予定
小岩井駅から小岩井農場まきば園までを同農場のガイドと共に歩く「IBCラジオすっぴん土曜日小岩井ウオーク」が10月4日に開催されます(受け付け終了)。この様子は広報たきざわ11月号で紹介します。

問い合わせ:都市政策課
【電話】656・6543