- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県栗原市
- 広報紙名 : 広報くりはら 令和7年9月号
(241) 寒湯番所関係古文書(御境目守三浦家文書)
花山地区本沢温湯にある寒湯番所は、近世に仙台藩と秋田藩の境に設けられた仙台藩の関所です。
宝暦11年(1761年)の「奥州仙台領遠見記」によれば、仙台藩領内には他藩との境に設けられた境目番所と称する関所が27カ所あったとされており、寒湯番所は奥羽山脈方面12カ所の番所の一つでした。当時、番所には、役目を担う「御境目守」、または「御境目古人」が勤務し、無断で他藩に出入りする者や、鷹、馬、兵具類、米、鉄などの持ち出しが禁じられた物資の取り締まりに当たっていました。
寒湯番所の御境目守を代々務めたのが三浦家です。三浦家は「御境目守」の他に藩直轄の山林を管理する「御山守」も勤め、これらの役職を永禄8年(1565年)から幕末まで担っていたとされています。その間に作成され、現在まで残っているのが「花山村寒湯番所御境目守三浦家文書」です。
これらの文書には、不審者を取り押さえるため番所に備えられた道具や、2代目の三浦四郎左衛門が脱藩しようとした侍2人を討ち取って討ち死にしたいきさつなどが記されており、御境目守の仕事が危険を伴うものであったことを伺い知ることができます。
また、宝永2年(1705年)に役宅を新築した際の文書や御山に関する文書も残されているなど、近世の栗原の歴史や社会を読み解くための貴重な資料です。
種別:市指定有形文化財
指定日:昭和32年7月25日
所在地:栗原市
問合せ:教育部文化財保護課
【電話】42-3515