文化 市内の文化財散策

(242)吉祥寺板碑群
一迫地区嶋躰門前の長水山吉祥寺には、2つの板碑があります。板碑とは、鎌倉時代から戦国時代にかけて、亡くなった人の供養や自身の死後の冥福を祈るために造られた板状の石碑で、仏などを表す文字やお経の一部、供養の内容、年月日、供養される人や供養を行った人の名前などが刻まれています。
吉祥寺の板碑はいずれも石巻を産地とする井内石(稲井石)を加工したものです。それぞれの大きさは、1号碑としているものが、幅23センチメートル、厚さ7センチメートル、地上に出ている高さが67センチメートルで、2号碑としたものが、幅20・5センチメートル、厚さ5・5センチメートル、地上に出ている高さが31センチメートルです。1号碑には聖観音菩薩を表す「サ」の梵字と、南北朝時代の北朝方の年号である「貞治二年故二月三日敬白」と刻まれており、造られた時期(1363年)を示していると考えられます。
2号碑には金剛界大日如来を表す「バーンク」の梵字が刻まれていますが、その下の部分は破損しているとみられます。年号などはありませんが、梵字の形態などから南北朝時代後半頃のものと考えられています。
これらの板碑には、どのような人が何を願って造ったのかは刻まれていませんが、何らかの供養のために造られたものと考えられ、当時の人々の信仰を知る上で貴重な資料です。

種別:市指定有形文化財(歴史資料)
指定日:昭和40年4月1日
所在地:一迫字嶋躰門前吉祥寺敷地内

問合せ:教育部文化財保護課
【電話】42-3515