くらし 町長コラム ベア・パル

■あれから55年
EXPO2025大阪・関西万国博覧会が始まります。東北で唯一、東京2020オリンピック競技大会を有観客で迎えた利府町ですから、他人事としては見られません。国際大会や催事といえば利府町。その功罪や良し悪しも理解しているつもりです。今回は遠く離れた場所での開催ですから、ちょうど東京五輪の際、利府以外の離れた自治体がどのように関心を抱き、関わっていたのか、客観的にみられるような気がして関心をもって眺めています。
開催も間近に迫った頃、宮城アフリカ協会さんから万博をとおして国際交流をしませんかと打診がありました。人的国際交流でもって、その費用は国が全額支援してくれるとのことです。自治体負担のない文化交流プログラムで、内容を精査すると条件は良いものばかりです。交流先はガーナ共和国。当協会とはリフノスでの料理教室などをとおして交流の経験がありましたので、肌の色も言語も地域も文化も日本とは全く異なるアフリカ大陸の国と交流することは、万博の趣旨にも合致していたので、町や子どもたちの未来を考えるとありがたい話だと、早急にチームを編成し(町長を含む)、先遣隊を送ることにしました。
大寒波が押し寄せる日本から灼熱のアフリカへ。何度も飛行機を乗り換え、30時間以上かけて地球半周の移動をしてまいりました。視察内容の詳細は機会があればご紹介したいと思いますが、主目的であった利府の中学生有志とガーナの高校生によるオンライン交流プログラムは無事成功裏に終わりました。ガーナは野口英世先生の終焉の地であり、日本の近代化のプロセス、ほぼ神話となっている高度経済成長物語、現代のアニメや漫画といったサブカルチャーも含めて、日本への関心が高く、今後様々な交流も展開できそうです。
一見関心が薄いように思える大阪・関西万博でありますが、4月から数か月間にわたって利府町の子どもたちが交流するとなると、話は俄然、色を帯びてきます。1970年大阪万博から55年の時を経て、戦後、高度経済成長、そして成熟期を迎えた日本を振り返るにはとても良い機会だと思います。私たちの先輩が何を考え、どういった気持ちで戦後復興を成し遂げようとしていたのか、そして成し遂げて、豊かさを享受してどのように感じているのか、興味は尽きません。2025年から3か年のプログラムです。この先の50年を決定するような人物がこの交流プログラムから誕生することを期待して取り組みたいと思います。

利府町長 熊谷 大(ゆたか)