くらし 町長コラム ベア・パル

■利府の魅力は全国区?
利府町がロケ地となった「ぼくが生きてる、ふたつの世界」に引き続き、利府町を舞台としたネット配信映画がヒットしています。Netflixの『新幹線大爆破』がそれですが、ヒット作「シン・ゴジラ」などを監督した樋口真嗣氏だから面白くないわけがありません。
あらすじは、東北新幹線はやぶさ60号に爆弾が仕掛けられ、100キロ以下にスピードを落とすと爆破するというもの。パニック映画ですが、その域を超える人間臭いドラマでもありました。樋口監督の特徴として、前代未聞の状況に陥った時、総理はじめ政府関係者の動き、緊急時の法制度の不備等が注意深く描かれているので、興味深く見ています。その樋口監督がどのように見慣れた東北地方の大地を表現していくのか、ぜひ視聴していただきたいと思うのですが、見慣れた新幹線車両センターとそこで働く人々がかっこいいのなんのって。
私は『新幹線大爆破』を見て、二つのことを思い起こしました。一つはトラファルガーの海戦で活躍し「England expects that every man will do his duty(英国は各員が義務を果たすことを期待する)」との名言を残したネルソン提督。そして宇宙空間で故障を乗り越えたアポロ13号の事故です。いずれもピンチを前に知恵と勇気と技術で窮地を乗り越えました。同作品も苦境をどう解決させるのかが見どころの一つです。
また、現代社会も鋭く表現され、危機的状況にもかかわらず国交省からの許認可が必要な局面で、お役所仕事のため人命救助に必要な作業の許可が下りない絶望感、命が危機にさらされた際の状況をネットでライブ中継し「投げ銭」を稼ぐユーチューバーなど、安全神話の崩壊や「人命は地球より重い」といった時代から今日の人権意識の揺らぎ、複雑な親子関係やトラウマ、PTSDなどの重いテーマがそれぞれ描かれます。それらすべてをまとめ、救済する一言が「全員安心して安全に目的地までお届けします」というJR職員の職業倫理の高さであるというのが、この映画のキモであります。
国家と個人が全く別の方向を向いている現代で、その両者をつなぎ、救いの手を差し伸べるのは民間企業であることは、何やら多くの意味合いをふくんでいそうです。
樋口監督が仙台で開かれた『新幹線大爆破』のイベントの際、インタビューで「利府を早く全国区にしたい」と答えられていました。全国の皆さんを受け入れる志高い町でありたいと思います。

利府町長 熊谷 大(ゆたか)