- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県横手市
- 広報紙名 : 市報よこて 令和7年6月号
横手市長 髙橋大×シンガーソングライター 高橋優
横手市が市制施行20周年となることを記念し、横手市出身のシンガーソングライター・高橋優さんと髙橋大市長との対談が行われました。優さん自身も令和7年にメジャーデビュー15周年の節目の年を迎え、音楽活動やふるさとへの思いを全力で語り合いました。
本対談は、国の登録有形文化財に登録されている横手市の歴史的風致形成建造物『旧片野家住宅』で行われました。
■高橋優(たかはしゆう)
1983年12月26日生まれ、秋田県横手市出身。シンガーソングライター。リントゥ所属。秋田県『あきた音楽大使』。札幌の大学への進学と同時に路上での弾き語りを始める。2010年4月、デビュー前に『福笑い』が東京メトロCMソングとして大抜擢される。同年7月、シングル『素晴らしき日常』でメジャーデビュー。2016年9月、横手市で野外音楽フェス『秋田CARAVAN MUSIC FES(キャラバンミュージックフェス)2016』を開催。2025年1月、9枚目のアルバム『HAPPY』をリリース。現在、全国ツアーを開催中。
■音楽で秋田を盛り上げたい
市長:まずは優さん、デビュー15周年おめでとうございます。
高橋優:ありがとうございます。
市長:さまざまなことがあったと思いますが、その中で印象深い出来事を教えていただけますか。
高橋優:やはり印象深いといえば、今も続けさせてもらっている、野外音楽フェス『秋田キャラバンミュージックフェス』(以下『フェス』)ですね。その第1回目を2016年に横手市で開催させていただきました。
市長:優さんが主催するフェスをふるさとの横手市から開催していただき、感謝しています。
高橋優:市長にはフェスの冒頭でごあいさついただき、ありがとうございました。音楽で秋田を盛り上げたいという思いのあるフェスなので、地域の方にも安心して応援していただくために、町ぐるみで開催していることを伝えることが重要ですから、市長が登場してくれて大変ありがたかったです。このフェスは、座りながら音楽を聴いても大丈夫ですし、休むところもたくさんあって、誰でも来られるフェスなんです。市長は、フェスについてどんな印象を持たれていたんですか?
市長:当市の会場は『グリーンスタジアムよこて』でしたね。本来、野球場ですので、当時「ここでフェスができるのか?」という声もありました。ですが、優さんが故郷に錦を飾る場所として、収容人数と、プロのミュージシャンの音楽を聴きながら思い切り騒いだり喜んだりできる場所を考えると、私はここでやるべきだと思っていたし、やってもらいたかったので、本当に良かったです。
高橋優:横手にミュージシャンが来る、若者も誇りに思えるようなフェスができる、という横手の可能性を証明したかったですし、ライブのような面白い展開ができる未来を横手市民の方にも感じてもらいたいという思いがありました。
■横手は音楽の原体験の場
高橋優:横手市は僕にとって音楽の原体験の場です。小学生時代から、横手駅前の『カシワヤ楽器』や商業施設でCDを買って、北上線に乗って家に帰ってから開封するのが本当に楽しみでした。そんな青春時代を過ごした横手で、自分主催のフェスを開催できたこと、それを許可いただいたこと、町ぐるみで音楽を奏でようとしてくれたことを僕は忘れられません。
市長:それは優さんがこうやって音楽の道で脚光を浴び、多くの人に感動を与える存在だからこそ、実現できたのではないでしょうか。
高橋優:ありがとうございます。市長、一つお願いですが、自分の青春時代の体験を含めて、横手で路上ライブができるところや身近にライブができる場所があるといいなと思います。音楽が好きな若者が実際に音楽を奏でることで、町に音楽が広がっていく体験を横手でできたらいいなと思います。そういう場所で僕もいつか歌いたいです。
市長:いいですね。若者の表現に対しては、懐を深くありたいと思っていますので、最大限努力します。ぜひ優さんに歌っていただきたいです。
■若い世代にワクワクしてもらいたい
高橋優:このフェスは、小学生以下は無料で入場できます。なぜかと言うと、若い世代にワクワクしてもらいたいからなんです。この対談の前に、横手駅前にできた『Ao‐na(あおーな)』に初めて行きました。そこには『ティーンズエリア』というのがあるんですね。
市長:10代しか入れないエリアですね。
高橋優:それは素敵だなと思いました。許可をいただいてその部屋に入らせてもらいましたが、そこにあるブラックボードにクイズを一つ書いてきたんです。
市長:どんなクイズか気になりますね。
高橋優:最後に「スマホとかタブレットとかで調べないで正解したらステキ!」と書きました。今の時代は、スマホがあれば簡単に答えにたどりつく、スピーディーに回答が得られる状況にあります。彼らがこのネット時代に、あえてかなり遠回りで、時間をかけて考えを巡らせ、自ら答えを導き出す姿って大事だと思っていて、そんな姿を想像するとワクワクしてきます。
市長:すごく大事なメッセージだと思います。
高橋優:市長は、若い子たちがどんな風になってくれたら良いと思いますか?
市長:たくましくあってほしいと思います。そのためには、厳しい事態に直面した時、先ほどの優さんの話と同じで、自らの考えを巡らせ、判断して、答えを導き出す力を身に付けてほしいと思っています。
高橋優:横手市民がもっと便利なAI機能を作ったりしたらすごいですよね。おいしいラーメンが作れるとか、パンを焼くのがうまいとか、何でも良いと思います。そのために、横手の魅力を底上げして欲しいです。横手の若い子たちがワクワクしながら暮らせるように。横手の人は良く言えば謙虚ですが、引っ込み思案で、一歩引いてしまうところがあると思います。そこの殻を破って一歩踏み込むというか、横手の若い子たちがワクワクしながら暮らせるように、もっと大人も生意気に一歩前に出て主張をして良いと思います。僕なんかは周りになんて言われても、「明日はきっといい日になる〜」って歌いながらグイグイ前に出てますから。「優にできたんだったらそれ以上のことが俺にもできる!」という若者がどんどん出てきて、過去を塗りかえたり、反対に過去を大事にする人がいたりしてもいいと思います。
市長:素晴らしいです。