- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県横手市
- 広報紙名 : 市報よこて 令和7年8月号
道路をつくり、建物をつくり、災害にも備える-。そんな市民生活を大きく支える建設業界が今、就業者の高齢化や若手入職者の減少により将来が危惧されています。本号では、建設業現場の最前線に迫りながら、その重要性や魅力を深掘りしていきます。
■建設業とは—地域を支え、守る職業。
建設業は、日々の暮らしや地域の産業を支え、ときには災害から人々を守るために活動する、地域に欠かすことのできない重要な産業です。市民の暮らしをより豊かにするために取り組んでいる建設業の仕事についてご紹介します。
▽産業・経済を支えます
人や物の円滑な移動のための拠点である空港や港湾、道路、鉄道など、地域の産業・経済活動を支える社会基盤を整備するとともに、地域における多くの人の雇用も支えています。市内では誘致企業の受け皿となる柳田工業団地の拡張工事が行われており、市内経済の活性化が期待されます。
▽暮らしを支えます
道路やトンネル、ダムなどの土木施設、学校や病院、ビルや住宅などの建物を造り、それらの維持・管理をしていくことで、地域の豊かな暮らしを支えています。現在、新横手体育館の建設工事が進んでおり、令和8年7月のオープンに向け、市内建設会社が大手ゼネコンとタッグを組み建設にあたっています。
▽人々を守ります
集中豪雨や地震といった災害が発生した際にはいち早く現場に駆け付け、人命救助のための障害物の除去や河川の氾濫を食い止めるための応急復旧活動を行います。また、当市では冬期の除排雪にも建設会社の協力をいただいています。安全・安心なまちづくりのために、なくてはならない職業です。
■進化する建設業の『今』を紹介!『ICT化』で変わる建設業の現場
かつて建設業界を象徴する言葉として知られていた『きつい・汚い・危険』の『3K』。長時間労働や重労働、現場の衛生・安全面の課題などが背景にあり、若者や未経験者にとって敬遠されやすいイメージを与え、担い手不足の深刻化を招いてきました。そこで国土交通省は、若年層や女性を含む次世代の担い手を確保・育成するために、建設業の働き方や制度そのものを見直す『新4K』を推進しています。
■[NEW]建設業のシン4K!
1 給料が良い!
建設業で働く方の賃金の目安として国が定める『公共工事設計労務単価』は平成24年以降、12年連続で上昇しています。
2 希望が持てる!
IT技術の普及により、効率的で安全な職場に。また、資格・経験・能力などに応じた給料が支給される仕組みも進んでいます。
3 休暇が取れる!
令和6年4月から建設業にも適用された時間外労働上限規制に対応するため、仕事の効率化などによる働き方改革が進められています。
4 かっこいい!
最近はスポーツ用品メーカーなどと協力し、快適でスマートな作業服を採用する会社も。「仕事内容も働く姿も『かっこいい』」!
■『ICT化』とは…
Information and Communication Technology(情報通信技術)を建設現場の調査・測量から設計・施工・維持管理までのあらゆるプロセスに活用すること!
▽土木工事への活用イメージ
(1)ICT建設機械による効率的な施工
(2)ドローンによる測量3D図面データ作成など
(3)リモート検査の実施ペーパーレス化など
→生産性・安全性が向上し、働きやすい職場に!
■Interview若手に聞く!『建設業の現場』
▽平成25年入社 岩村翔平(いわむらしょうへい)さん
私は、高等専門学校卒業後に就職した関東の建設会社から地元に戻ってきた、いわゆる『Aターン組』です。前の会社では休日出勤や残業が多く苦しかったため、3年ほどで退職して横手に帰ってきました。その後、知り合いの紹介もあり、現在の会社に就職しました。
今は、残業や休日出勤はほぼありません。その大きな要因は、必要書類の簡素化による事務仕事の省力化や、ICT化が進んだことによる建設作業の効率化があると思います。実際に、提出書類が数十枚から一枚になったり、検査を遠隔で行ったりというような改革が進んでいます。就職した当初と比べ、建設業の労働環境が改善されていることを肌で感じています。
建設業は、社会情勢がどうあろうと必要とされる重要な職業だと思います。その分、覚えることも多いですが、これからもさまざまな現場で経験を積み、少しでも市民の皆さんが安心して暮らせる環境作りに貢献していきたいです。
▽平成30年入社 大野実咲(おおのみさき)さん
建設業に就職したきっかけは、高校生の時に平鹿建設業協会が主催していたイベント『よこて建設女子会』に参加したことでした。当時、現場で女性の方が働いているのを見たり、実際に話したりする中で、「私でも働ける!」と思い、建設業界に飛び込みました。
普段の業務内容は、主に現場事務所で行う施工管理で、力仕事はほぼありません。現場の職人の皆さんはとても優しく、分からないことは親身に教えてくださるので、女性の私でも不安なく仕事ができています。
また、横手市の建設産業で働く女性で構成する団体『SAKURA』では、令和4・5年度の共同代表を務め、建設女子の交流の機会を増やしたり、SNSを通じた仕事内容のPRを行ったりしてきました。少しずつ女性の入職者が増えてきていますが、男性と比べるとまだ少ないです。いろいろな活動を通して、少しでも建設業に興味を持ってくれる方が増えればいいなと思います!
■地域建設業の未来に向けて
横手市建設課課長 高橋英樹
建設業は、私たちの生活の基盤となるインフラを整備・維持管理するだけでなく、災害発生時や冬期間の除雪作業など、市民の暮らしや地域を守るやりがいのある仕事です。そんな建設業ですが、若い方の入職者数が少なく、高齢化が進んでおり、担い手の確保が喫緊(きっきん)の課題となっています。
建設業には、『きつい』『給料が安い』『休暇が少ない』などのネガティブなイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。しかし最近の建設業はICT化が進み、作業の効率化や生産性の向上による従業員の負担軽減のほか、賃金面や福利厚生なども充実し、どんどん新しい働き方へと変化しています。
市では、多くの市民の皆さんに建設業へ興味を持っていただけるような取り組みを進めていきたいと考えています。皆さんも、地図や人の心に残る仕事をしてみませんか?