- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県横手市
- 広報紙名 : 市報よこて 令和7年8月号
横手市長 髙橋大
昨夏のコメ不足から続く米価の高騰は、『令和の米騒動』として注目されています。
このような現象が起こる背景の一つとして、農村社会とは縁遠い消費者の、食料安全保障への意識低下が根底にあったのではないかと残念に思うところです。また、都市と地方の分断を招くのではと懸念します。今回の米騒動は、多くの方が食糧生産や流通といった社会構造のありがたさを考え直すきっかけになったのではないでしょうか。
さて、当市の農業発展の歴史に欠かせない人物の一人に土田萬助(つちだまんすけ)がいます。萬助は、従来の農法からの脱却を目指し、科学農法の普及・改善に努め、堆肥(たいひ)の増産やコメの品質向上を図るなど、農林業の振興に尽力しました。
萬助の指導のもと、旧館合村全域で農地整理が行われ、沼地を埋めて原野を開き、農道や農業用水路を整備するなど、地域の協力を得てわずか3年で模範農村と言われるまでになりました。また、政界では自らを『土百姓議員』と称して活躍した偉人です。
こうした先人の努力によって築かれた食糧生産の基盤は、一朝一夕で整うものではありません。私たちには、その礎に感謝し、守っていく責任があります。農家の皆さんが、安心して農業経営が継続できるよう、国や県、関係機関と連携していきます。
▽土田萬助
明治2年、旧館合村宮田(大雄)生まれ。土田農場で生産されたフレーモア号(馬主は長男荘助(そうすけ))は、第3回日本ダービー優勝馬。農業だけでなく、貴族院議員や旧羽後銀行頭取など、政財界でも活躍した。