くらし 法の広場

■訴えることはできますか?
「絶対に訴えてやる」というキャッチコピーもあった某テレビ番組が、今年3月に放送終了しました。いつの間にか、タイトルが「法律相談所」から「相談所」になっていましたが、この番組がテーマにもしていた、「訴える」とはどういうことでしょうか。
訴えるというのは、裁判所に対して、「自分はAにこういうことをして欲しい」と考えているので、そのような判断をして欲しいと求めることを言います。訴えることにより、裁判(訴訟)が始まります。訴えた人を「原告」、訴えられた人を「被告」と言います。この被告は、刑事裁判を受ける被告人とは異なるので、悪いことをしたというようなネガティブな意味はありません。
訴訟では、事実が存在するか、訴えが法律に根拠のある適切な主張であるかなど、その訴えが認められるべきか否かについて、互いに証拠を用いて主張し合います。そして、訴えが認められるときには「被告は、原告に対し、~せよ」という判決が、認められないときには「原告の請求を棄却する」という判決がされます。
訴えることそのものに理由や証拠は必要なく、誰でも誰に対しても訴えることが可能です。そのため、裁判所を利用した架空請求が流行ったことがあります。その方法は、
(1)法務省認可特殊法人などをかたる架空請求者が訴える
(2)訴えられた被告が架空請求だと考えて無視をする
(3)裁判官は被告の反論がないために架空請求者の訴えを認める判決を行う
というものです。裁判の手続きに関する書類が、普通郵便で届くことはありません。裁判に関する郵便が届いた時は、中身を確認し、対応すべきものなのか、無視してもよいものかをしっかり確認・調査してください。
被告が、原告の訴えを認める判決に従わない場合の対応については、広報かづの2月号でお話しします。

林拓巨(たくみ)弁護士
法テラス鹿角法律事務所
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