- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県福島市
- 広報紙名 : ふくしま市政だより 令和7年4月号
■第79回「水道通水100周年」
今や福島市の名物の一つといえる水。蛇口を捻(ひ)ねれば、冷たくやわらかいおいしい水がいつでも飲める!こんな県都クラスのまちは他にないでしょう。福島駅東西広場のももりんが、自慢の水を提供しています。
本市水道が今年4月、通水100周年を迎えます。大正11年に近代水道が創設され、以後、拡張を続け、平成19年から全面的に摺上川(すりかみがわ)ダムからの給水になりました。
原発事故後、水道水を不安視する空気も窺(うかが)えましたが、適切な水質管理によって安全性は保たれてきました。むしろ平成25年からは10年連続で、ペットボトル「ふくしまの水」がモンドセレクション金賞以上を獲得。品質とおいしさが高く評価されています。
近年、水道インフラへの関心が高まっています。能登半島地震など、多くの災害で断水が発生。復旧に長期を要し、避難生活だけでなく応急対策の支障にもなっています。八潮市(やしおし)の下水道陥没事故が衝撃を与えましたが、水道の噴水が突然出現するという事態は全国各地で起きています。
水道料金の引き上げを避けるため、管の耐震化や老朽管の更新が進んでいないという事情が背景にあります。事業推進への転換と物価高が相まって、この春は全国的に水道料金の引き上げラッシュ。約4割の引き上げになる都市もあるようです。
福島市では、近年、事業を加速し、新年度末には基幹管路の耐震適合率が100%となる予定。新年度からは、救急病院や避難施設への管路も上下水一体で耐震化します。容量3トンの給水車を導入するとともに、地域で給水活動を実施いただく応急給水拠点を整備するなど、断水時の備えも強化します。
本市の水道料金は高いと言われますが、しっかり投資を行えば、相応の料金にならざるをえません。もっとも、引き上げが必要とならないよう、水道施設を活用した小水力発電を実施したり、人工衛星を活用した漏水調査を全国的にいち早く取り入れるなど、経営効率化を進めていますので、ご理解をお願いします。
今後、警戒すべきは気候変動。摺上川ダムの水が枯渇(こかつ)することはまずないと思いますが、油断はできません。私は他県で、数カ月に及ぶ給水制限という辛(つら)い経験をしました。メガソーラーなどの開発によって水源地の機能が弱くならないよう対応してまいります。
福島市の水道は、100周年の後も、安全安心でおいしい水を安定的にお届けします。
福島市長 木幡 浩(こはたひろし)