- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県いわき市
- 広報紙名 : 広報いわき 令和7年4月号
■川開きの花火大会
江戸時代の三代将軍・徳川家光の時代に大川(おおかわ)(隅田川)の川端で始まった花火大会は火事の原因となり、また砲声と紛らわしいことから中断されましたが、8代将軍・徳川吉宗の治世下の享保(きょうほう)18(1733)年、前年に冷夏と長雨、害虫の大発生で大凶作となり、加えてコレラが蔓延(まんえん)したため、川開きの際に、これら死者の霊を慰め、災厄(さいやく)を祓(はら)うことを目的に花火が打ち上げられました。
このような経緯から、花火大会は厄払いを念頭にした川開きとして、地方に伝播していきました。
では、いわき地方で最初に本格的な花火大会が開催されたのは、いつだったでしょうか。新聞記事などを追った限りでは、花火の打ち上げだけを目的とした川開き形式では、大正時代末期に始まった鮫川の花火大会、あるいは夏井川流灯会と考えられます。
このうち、鮫川の花火大会は戦争中・戦後まもなくの中断、さらには昭和35年からの長いブランクを経て平成8(1996)年7月に復活しました。
昭和30年代の中断が、花火大会を財源捻出と費用対効果の観点しかみていなかったことの反省に立ち、まちづくりに資するよう、広く薄く地域住民から集めることで、安定的な財源確保を図り、継続できるようシステム化したものでした。
(いわき地域学會 小宅幸一)