- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県大玉村
- 広報紙名 : 広報おおたま 2025年4月号
■花・野菜・植物たち(2)
箱﨑美義 著
◆(1)つづき
○しいたけの栽培生産
平成年代以後、日本における生しいたけの栽培・生産は、おもに群馬、栃木、茨城、埼玉などの関東地方で行われてきた。また干しいたけは九州や四国地方などで多い。とくに高級品は、静岡の伊豆地方が全国的に知られている。以前は干しいたけの栽培生産がおもであったが生しいたけの出荷に切りかえたところが多くなっていった。大玉村における、しいたけ栽培、生産は昭和年代から住宅のまわりのいぐね(居久根)林、樹木の日陰地で栗や柚などの榾木(ほたぎ)を置き自然発生するしいたけを自家食材として収穫し用いてきた。現在の大玉村では、米作りと野菜を栽培し乍ら、しいたけを170平方メートルの栽培施設で年間2t以上を栽培し収穫して消費者に出荷されている。
○しいたけの栄養と料理
生しいたけも干しいたけもビタミンB1・B2、食物繊維が多く、量的には、生しいたけの方が効率が良い。生しいたけ干しいたけとも以前から制ガン物質が含まれている報告もある。干しいたけの香りは、水でもどすと高まり料理の風味を高め、その旨み成分グアニル酸(たんぱく質の一種)は、グルタミン酸を合せると、とても強い味をつくり出す。生しいたけは、石づきを切り落として直火焼きにして食べる。天ぷら・炒め物、肉詰めにしたり鍋料理に入れたり、汁の実にする。軸もほぐして炒め物やスープにしても旨い。干しいたけはそのものを味わうには、もどしてから煮物にする。すしの具、炊き込みご飯に入れたり、あえ物(和え物)、つくだ煮(佃煮)にする。中華料理では、油で炒め物、精進料理のだし(出し)や魚介類のだし(出し)などにすると旨い(うまい)。生しいたけの旨(うま)みと香りは笠の表面にあるので洗うときは、すばやくするか、ふきんでふく。干しいたけをもどす時間は、水でもどすなら20~30分、急ぐときは、少しの砂糖を入れたぬるま湯につける。煮るときはとろ火にすると旨みが逃げない。しいたけだしは、精進だしの一つで干しいたけ400gを水洗いして2ℓに浸して2時間ほどつけ昆布20gを加えてつくる。しいたけの照り煮は、干しいたけの煮汁を煮詰め乍ら照を出したもの。しいたけの肉詰め揚げは、生しいたけに豚のひき肉を詰め揚げたもの。しいたけの含め煮は、干しいたけを油で香ばしく炒め焼きしてから甘辛く煮含めたもの。しいたけ飯は、しいたけを使った炊き込みご飯。生しいたけの100g当りのエネルギーは、23kcal、水分88.3g、タンパク質3.1gなど含まれる。(つづく)