その他 美しい大玉村

■花・野菜・植物たち(2)
箱﨑美義著

◆(2)つづき

立ならぶ高嶺の檜原かげ暮れて霞の残る夕づく日かな村田春海
稲妻の消えて音ある檜原かな多峴
降雪に日のさす春の檜原かな葉靜

○ひのきの生いたち
ひのきは、今から1300年前、700年代、日本最古の歴史書の古事記、日本書紀年代に世界で初めて日本の山野地で生れ育った、ヒノキ科の常緑、針葉樹、高木で、日本が原産国である。

○ひのきの本名、別な呼び名のゆらい
ひのきの本名は、ひのき、桧、桧木、扁柏などがある。別な呼び名は、ひばひ、檜、火の木、幸草(さいわいぐさ)、富草(とみぐさ)、三葉草(みつばぐさ)、三間草(みまぐさ)、四葉草(よつばぐさ)、福草(ふくぐさ)などがある。本名の、ひのきは、上代の奈良時代に、このひのきを摩擦して摩擦熱を利用して火をつくり、火の元としたために、この呼び名がつけられた。他の木材でも同様であるが、特に、ひのきの木材は、発火しやすい性質がある。いまでも伊勢神宮(三重県伊勢市にある皇室)や出雲大社(島根県出雲市)日本最古の神社建築の様式には、ひのき、檜の発火器が現在も保存されている。別な呼び名は、いずれも、日本または中国の呼び名である。

○ひのきと私たち生活
ひのきと言えば、すぐ「いぐね」が頭にうかぶ。この、いぐねは、なぜか東北地方や靜岡県に多く、屋敷境、転じて屋敷まわりの樹木をもいう。いぐねの「くね」は、地境のことである。なぜ、この「いぐね」が東北地方に多くあるのだろうか。私の解釈の一端には、風や雪などの気象災害から家屋などを保護するためと、成木木材をいろいろと利用するためと考える。この、いぐねには、ご存知のように多くの樹木(常緑樹、落葉樹)がまぜ植えられている。これら樹木の中の一つとして、ひのきが多い。この、ひのきは、高さ40メートル位まで円錐型に生長し、とくに枝葉に雪が積もった、その樹形、雄大なる容姿、景観が、とても美観で遠くからでも目に止まる。ひのきは日本特産樹木の一種で全国の山林に生育している。特に木曽(長野県木曾郡)のひのきは、青森県のヒバ(アスナロ)林、秋田県のスギ(杉)林とともに日本三大美林の一つで、有名である。ひのきの繁殖は、実生(種子)、挿木(枝葉)などで行う。