くらし なめがた大使小林光恵さん書きおろしエッセイ 五感でキャッチ!なめがた漫遊記第20回

■持つべきものは〇〇
何年ぶりだろうか。旧友Rに会った。久しぶりに会ったならば、ひとしきり久しぶり感を互いに分かち合うようなやりとりを行うことが多いが、彼女の場合は違う。ひと月ぶりに会おうが五年ぶりに会おうが、昨日も学校で会っていたような態度で接してくる。だから私も同じように返す。《こういうのを気のおけない関係って言うのかなあ》なんて思いながら。
先日もRは、会うなり昨日見たドラマの話を始めた。「あれおもしろいね。次回、どうなると思う?」「知らないよ、私、見てないもん」と返すと「へえ。見ればいいのに」と。
二人でだらだらと話しているうちにR(他県出身)が、霞ケ浦の形を見たいと言い出し、スマホで地図を検索して見せながら、日本で琵琶湖の次に大きい湖なのだ、海みたいに、夕陽が湖面に映る様子だって感動的だ、などと自慢した。するとRが言った。
「へえ。そんな大きいの。じゃ、たまってる水の量も、すごいだろうね……。そうだ、その水がさ、口にできる別の何かだとしたら、何がいい?」
そうだなあ。うれしい想像が始まった。香り高いシャンパンが満ちた霞ケ浦をオレンジ色の夕陽が照らす。あるいは、フルーツ牛乳がちゃぷん、と波打つ。サングリアはどうだろう。ソーダ水もいいなあ。
そこでRが言ったのだ。
「ポン酢とか、いいんじゃない?必要なときには、そこからくんでくれば水炊きがいつでも食べられるし」
カチンときた。
「調味料はダメ!ありえない」
そこまで言って私が黙ってしまうと、Rはニヤリとして、
「久しぶりにミツエのカチン顔を見れたよ。今日はそれを見にきたようなもんだから、成功成功。じゃ、行くわ。行方市民の皆さんの中に、ポン酢でもいいっていう人がいる、に千円」
Rはつくば駅の改札口前のスターバックスをあとにして、つくばから近くはない住まいへと帰って行った。
最近、友だちのありがたみを感じる機会が多い。持つべきものは友だち、ですね。

■小林光恵さん
行方市出身。つくば市二の宮在住。2025年は、自分より年上だと思っていた人が年下だと知り、驚くことの多かった年でした。新年おめでとうございます。
市公式ホームページ内で「行方帰省メシ」連載中。