- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県栃木市
- 広報紙名 : 広報とちぎ No.184 令和7年8月号
平成17年から戦没者の遺骨収集に取り組む阿部信夫さんに、活動への想いや戦後80年を迎えた今のお気持ちを伺いました。
――まず、現在ご所属の団体や、その中で取り組まれている活動について教えてください。
現在、栃木市遺族連合会副会長、三鴨地区・藤岡遺族会会長を務め、日本遺族会や戦没者遺骨収集推進協会にも関わっています。平成17年からは遺骨収集のためインドを訪れており、これまでに約20回渡航しました。
――遺骨収集の活動を始められた背景には、どのような想いがあったのでしょうか。
私は2歳半のとき、父・阿部荘一を戦争で亡くしました。インド・クンビ付近で戦死したとされ、当時31歳、陸軍歩兵として従軍していたと聞いています。物心がつく前に父を失ったため、その人となりを知る機会がありませんでした。だからこそ、若いころから「いつか父の戦没地を訪れ、記憶をたどりたい」という想いを抱き続けてきました。
――実際にお父様の戦没地を訪れた際、どのような感情を抱かれましたか。
父が戦死した地に立ったとき、自分の中でひとつの区切りがついたと感じました。現地の土を持ち帰ることもでき、父とつながれた気がしました。
同時に、今も現地に眠る多くの戦没者の存在を実感し、父だけでなく他の方々のためにも何かしたいという思いが強まりました。少しでも多くのご遺骨を祖国に戻すことが、自分の役割だと感じています。
――遺骨収集の活動を通じて、感じていることや、次の世代に伝えたいことはありますか。
遺骨収集は時間や財源に限りがあり、戦後80年を迎えた今、継続の難しさを感じています。それでも、今を生きる私たちができることに向き合う意味は大きいと思います。
日本の平和と発展は、多くの戦没者の犠牲の上にあります。その上で、遺族の私たちができることを実践していくことが、次の世代を生きる人への平和を考えるきっかけになればと願っています。
阿部信夫(あべのぶお)さん
栃木市遺族連合会 副会長
三鴨地区・藤岡遺族会 会長
■遺族会とは
戦没者の遺族などが会員となり、戦没者の慰霊や会員間の交流促進、戦争を経験していない世代へ平和の尊さを伝える等、様々な活動を行っています。市内の各地域にも遺族会があり、それらをまとめる組織として遺族連合会があり、毎年、市と「栃木市戦没者合同追悼式」を共催して開催しております。
■栃木市戦没者合同追悼式
戦没者を追悼し、平和への祈りを捧げます。どなたでもご参加いただけます。
日時:10月28日(火)14時~
場所:とちぎ岩下の新生姜ホール(栃木文化会館)小ホール
■第12回戦没者特別弔慰金
戦没者の犠牲に弔意を表してご遺族に支給するものです。
支給対象者:戦没者等の死亡当時のご遺族(詳しくは問合先まで)
請求期間:令和10年3月31日まで
支給内容:額面27万5千円、5年償還の記名国債
請求窓口:高齢介護課、各支所地域づくり推進課(市民)保健福祉係
問合せ:高齢介護課
【電話】21-2249
問合せ:高齢介護課
【電話】21-2241
戦争体験を聞く会・とちぎ非核平和展=ヒカリから光へ=2025・とちぎ平和展・戦後80年中学生広島派遣報告・昭和館次世代の語り部講話会を開催します
戦争の悲惨さや核兵器のおそろしさを知り、命の尊さや平和について考えてみませんか。多くの皆様のご来場をお待ちしています。
■戦争体験を聞く会
戦争体験の語り部の山口(やまぐち)スミさん、小倉久吾(おぐらきゅうご)さんに、戦時中にどんなことが起きていたのかをお話しいただきます。
日時:8月16日(土)10時30分~12時30分
場所:とちぎ岩下の新生姜ホール(栃木文化会館)展示室
定員:70人程度(予約不要)
費用:無料
■とちぎ非核平和展=ヒカリから光へ=2025
栃木市・賢二版画絵巻プロジェクト共催。丸木美術館所蔵の原爆の図の複製画や、市ゆかりの彫刻家で版画家の鈴木賢二氏の版画絵巻等を展示します。17日の13時からは小ホールにて朗読劇「泰山木の木の下で」を実施します。
日時:8月14日(木)~17日(日)10時~18時(17日は16時まで)
場所:とちぎ岩下の新生姜ホール(栃木文化会館)
展示室(展示部門) 小ホール(朗読劇)
費用:展示室…無料 小ホール…500円(公演協力券)
■とちぎ平和展
日時:8月4日(月)~15日(金)8時30分~17時
場所:栃木市役所 本庁舎4階 通路
内容:第二次世界大戦末期に使用した飛行服等の現物資料や戦争の惨状を収めた写真パネル等を展示します。
費用:無料
■戦後80年中学生広島派遣報告・昭和館次世代の語り部講話会
市立中学校2年生26人で構成される広島平和記念式典中学生派遣団が広島市を訪れ、戦争や広島への原子爆弾の投下について学んできます。中学生が広島への派遣を通して学んだことや感じたことを発表します。また、今年は戦後80年の節目の年を迎え、昭和館次世代の語り部による講話も行います。ぜひご来場ください。
日時:8月23日(土)14時30分~
場所:とちぎ岩下の新生姜ホール(栃木文化会館)小ホール
対象:どなたでも
問合せ:総務人事課
【電話】21-2342