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全国高校総体(インターハイ)フェンシング競技大会 男子エペ個人 優勝
中浦 秀哲(なかうら ひでのり)さん
令和7年度インターハイフェンシング男子エペ個人にて優勝を果たした、栃木商業高校3年の中浦 秀哲さんにお話を伺いました。

◆5歳から始まった挑戦
大阪府高槻市で生まれ、5歳の頃にフェンシングを始めた中浦さん。小学4年生からは、栃木の実績あるコーチから指導を受ける機会を得て、大阪から夜行バスで栃木のクラブに通いました。小学6年生で全国大会2位に終わった悔しさが残り、両親から「勉強かフェンシングか」と問われたとき、迷わずフェンシングを選びました。そして両親の提案により、中学生からは栃木市に移住し、努力を続けました。
「やりたいことを全力で応援してくれる両親には、本当に感謝しています。」

◆苦境を乗り越え掴んだ栄冠
一昨年はベスト16、昨年はベスト8と着実に成績を伸ばし、迎えた今年の全国大会ですが、体調不良もあり予選を38位通過、さらに試合中には足のけいれんに襲われるなど苦しい状況が続きました。それでも「後悔だけはしたくない」と自らを奮い立たせ、これまで勝ったことのない強豪選手にも逆転勝利を収めます。満身創痍で迎えた決勝戦でもリードを奪われますが、集中力を極限まで高め、冷静に戦況を立て直し、ついに頂点に立ちました。「今までやってきたことを出し切ることだけ考えていました」と振り返ります。

◆紳士のスポーツとして
「フェンシングは紳士のスポーツ。見ている人をひきつける姿勢や人間性も大切」と語る中浦さん。その魅力は駆け引きにあると言います。指先の力加減や肩の高さ、間合いの取り方ひとつで勝敗が左右され、わずかな隙を逃さず飛び込むタイミングが勝負を決めます。積み重ねてきた何百通りもの技の中から、状況に合わせて戦略を組み立てることも大きな醍醐味です。

◆栃木から世界へ
今年度の目標は、カテゴリー別の世界選手権への出場。そして大学では世界ジュニアやシニア大会で結果を残し、ロサンゼルスオリンピック出場を目指しています。厳しい練習の日々の中、悩むこともあるといいますが、「そんな時は自然の中を散歩すると気持ちが整理できます。栃木の好きなところです」と笑顔を見せます。
県内では体験会も行われており、高校から始めて全国で活躍する選手も少なくありません。「まずは気軽に体験してほしい」と語る中浦さん。フェンシングの門戸は、広く開かれています。