文化 第27回川上澄生美術館 木版画大賞作品紹介

■次代を担う木版画作家の登竜門
「鹿沼市立川上澄生美術館木版画大賞」は、木版画で新たな表現に挑戦した川上澄生の精神を受け継ぎ、未来をひらく木版画家の発掘を目的に開催しています。
今年は鹿沼市をはじめ全国から88点の作品が寄せられ、その中で大賞に選ばれたのは牧野浩紀さんの《黄空(きいぞら)の雲華(くもばな)》です。黄色い空のなかに、雲の集積によって形成された華が大きく存在感を持って描写されています。まるで麻布を思わせるざらざらとした印象の画面は、よく観察すると、何度も「摺り」の工程を繰り返すことで実現していることがわかります。
牧野さんの作品を含め、今回入賞した作品はどれを大賞として選出すべきか最後まで審査委員を悩ませたものばかりで、一点一点について、各審査委員が所見を持ち寄りながら議論が重ねられました。
その中で《黄空の雲華》は、力強さや解釈の広がりを感じさせることが評価され、大賞に選ばれました。
牧野さんの作品は、大賞作品を含め、令和8年2月に当館で開催の個展でご紹介予定です。
学芸員 相澤美貴

※美術館からのお知らせ
3月31日(月)から4月11日(金)は展示替えのため休館します。