くらし 当たり前じゃない、この自然 〜ネイチャーポジティブで守る群馬の恵み〜(2)

■ネイチャーポジティブ経営に取り組む企業を紹介!
◇産業と自然の共存を目指して サンデン株式会社(前橋市)
サンデン株式会社
福田 博一さん
サンデン株式会社はカーエアコンなどの製造を主な事業としています。新工場の建設が必要となったとき、世界的な環境保全の流れを考慮し、自然と共存できる工場のあり方を検討しました。そして赤城山南麓に敷地の半分を森林として整備した「サンデンフォレスト」の建設が決まりました。
ここでは環境と共存するためのさまざまな工夫をしています。例えば、地形に沿って分割して工場を建設することで、大規模造成を回避したり、造成当時は荒れ地だった敷地に3万本の木を植樹したりしました。また調整池にはあえて水深の差を設けることで、将来ビオトープとなるようにしました。建設後も草刈りや特定外来生物対策を行ってきた努力が実り、現在では工場建設前よりも多い、800種近い里山特有の在来種が生育・生息する森へと成長しています。
今後もこの自然を守っていくために「サンデンフォレスト」を活用して利益を生み出し、その利益をこの活動に還元するという好循環を作ることができればと考えています。
そこで環境保全活動を継続するためのヒントを得るため「ぐんまネイチャーポジティブ推進プラットフォーム」に加入しました。他の企業や団体、自治体とさまざまな情報交換の機会を得られることを期待しています。交流の中から生まれる新しい発想でネイチャーポジティブの実現にさらに貢献できるよう、活動を続けていきたいです。

◇「自然に従う」生き方を 有限会社きたもっく(長野原町)

これが「コロ薪」です!
有限会社きたもっく
代表 福嶋 誠さん
雄大な浅間山がそびえ立つ北軽井沢の自然の素晴らしさを、多くの人と共有したいという気持ちからキャンプ場を立ち上げることに。木も生えていなかった荒野を居心地の良い空間にするため、まずは植樹が必要だと考えました。十分な資金もなく、苗木から育てると時間もかかるので、森で大きな木の陰になり十分に育っていなかった幼木をキャンプ場に植え直しました。この時植えた3千本の木は半分以上が枯れてしまい、自然の厳しさをあらためて学びました。このような経験から「自然に従う」という生き方を意識するようになりましたね。
その後キャンプ場を15年ほど運営し、さらなる会社の成長のため冬場の営業を開始することにしました。薪ストーブなどでこれまで以上に薪を使うことから、使用する薪を自分たちで製造する仕組みを考えました。山林で適切な伐採を行い、キャンプ場で使う薪や炭、細い木は「コロ薪」に、良質なものは建材として有効に活用しています。
しかし山や木は何年もかけて成長するため、利益が出るまでに長い時間が必要です。そこで山の草花を生かして、短期間で利益がでる養蜂業も始めました。
ネイチャーポジティブをさらに進めていくためには、その取り組みが企業の利益につながるという仕組みを、どう作るかが重要だと感じています。私たちが30年に渡り意識して続けてきたのは「自然を守る」「自然資本を余すことなく使う」「しっかりと利益を得る」という考え方。このビジネスモデルが、これからネイチャーポジティブ経営に挑戦する企業の希望になると良いなと思っています。

群馬県の豊かな自然を守っていくためには、私たちが身近な自然に親しみその価値を理解することが大切です。
8ページのおでかけGuideで自然と触れ合える場所を紹介しています。ぜひ、足を運んでみてください。

問い合わせ先:県庁自然環境課
【電話】027-226-2872