くらし 【tsulunos PLUS】+ネーチャー いきものスケッチ

群馬で見られる動植物の特徴や生態を紹介します

■ヤリタナゴ-槍鱮-
特徴:日本固有のコイ科の淡水魚で、本州・四国・九州に分布。体長約6〜8センチメートルの細長い体が特徴です。繁殖期のオスは光沢のある赤紫色や青緑色に染まり、とても鮮やか。春から夏の産卵期になると、二枚貝に産卵する独特の方法で繁殖します

・条間膜に紡錘形(ぼうすいけい)の暗色斑紋(あんしょくはんもん)がある
・1対の長い口ひげを持つ
・産卵期になると、背びれと尻びれの縁が鮮やかな朱色に変化する
※詳細は本紙をご覧下さい。

◇絶滅が危惧される美しく繊細な日本の淡水魚
ヤリタナゴは細く美しい体と繁殖期の体色が特徴で、産卵母貝であるマツカサガイがいなければ繁殖できない繊細な淡水魚です。県内では藤岡市の笹川にのみ生息し、県レッドデータブックで「飼育下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している野生絶滅」に分類されています。近年は、貝の大量死や水路改変により個体数が激減しており、保全活動と新たな生息地の整備が進められています。

藤岡市はヤリタナゴを天然記念物に指定し、市役所ロビーの水槽で飼育しています

◇ヤリタナゴ保全への取り組み
生息場所の復活を目指した共同プロジェクト
県立藤岡北高校では、校内のビオトープで水生生物を飼育し、地域の水環境を再現。行政や環境団体と連携し、環境教育の拠点づくりや生息環境の管理、市民参加の仕組みづくりを目指しています

◇群馬との関わり
県水産試験場が取り組むヤリタナゴの人工繁殖
藤岡市のごく一部の水域に細々と生息している群馬在来のヤリタナゴを保全するため、県水産試験場では、藤岡市に生息していた系統を場内で稚魚から成魚まで飼育、繁殖させています