子育て 〔特集〕 給食には食べたくなる理由がある(1)

毎日さまざまな食材、メニューが提供される給食。誰しも思い出の給食があるのではないでしょうか。
質と量と栄養バランスを考慮した献立作りの他、食材調達、調理など給食が学校に届くまでには多くの人が関わっており、たくさんの工夫と思いが詰まっています。子どもたちの健やかな成長を支える「学校給食」に込められた愛を探してみましょう。

■あの頃の給食メニュー
写真提供:日本スポーツ振興センター(昭和27・44・58年)、(公財)埼玉県学校給食会(平成11年)
※写真は本紙をご覧ください。

◆おじいちゃん・おばあちゃん世代
◇昭和27年
・コッペパン
・鯨の竜田揚げ
・ミルク(脱脂粉乳)

◇昭和44年
・スパゲッティー
・プリン
・牛乳(瓶)

◆お母さん・お父さん世代
◇昭和58年
・ツイストパン
・ほうれん草グラタン
・牛乳(紙パック)

◇平成11年
・なす南蛮うどん
・ゼリーフライ
・みかん

◆現在
◇令和7年
・チキンライス
・たらの香草焼き
・クリームスープ

■6月は食育月間
今年は食育基本法が公布・施行されてから20年の節目の年です。食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものです。そして、さまざまな経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることでもあります。

■学校給食の目的
学校給食法は、適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ることを目標の一つとしており、学校給食は1日に必要な栄養素の約3分の1が摂取できるように作られています。また、家庭で不足しがちなカルシウムは約2分の1が摂取できるようになっています。

■安全・安心のために
食材は90度以上1分間加熱をして、調理をしたものは温度を測って加熱不足がないか確認しています。
また、食中毒を防ぐため、サラダなどに使う野菜は必ず加熱し、真空冷却機で一気に5度まで冷却し細菌やウイルスの繁殖を防いでいます。

■地産地消のこだわり
地産地消は旬の食材をおいしく味わえるだけではなく、生産者の顔が見えることで地場産物に対する理解や関心を深め、地元への愛着を育てることにもつながります。
旬な野菜を使用している他、米飯は全て行田産の米を使用しています。

■ワクワクする給食
市では各学校の希望を反映した「リクエスト給食」や本に登場する料理を取り入れた「おはなし給食」などを実施し、給食への関心を高める工夫をしています。

■みんなで食べるとおいしい
クラスのみんなで食事をすることで「楽しく食べること」「協力して準備や後片付けができること」など、給食を進んで食べようとする意欲を育てます。

■給食専用の食器
食器には食材の色が移りにくく、長く使い続けても化学物質が出ることがない安全な強化磁器を使用しています。

■給食レシピ公開中
市ホームページでは給食の人気メニューのレシピを紹介しています。
家庭でのごはん作りの参考にしてみてはいかがでしょうか。

■毎日2つのメニュー
衛生面におけるリスク分散、安定的に食材を調達することを目的として、給食のメニューをAコース(東・北小学校を除く全小学校)とCコース(東・北小学校と全中学校)の2つに分けています。

■学校給食センターひまわりの1日
平成7年に開設した「行田市立学校給食センターひまわり」では毎日、栄養士2人、調理師など約30人で市内全ての小・中学校20校、約5,500人分の給食を作っています。
朝6時30分。ボイラーを稼働し、食材の確認から学校給食センターの1日が始まります。

(1)準備・打ち合わせ 午前8時ごろ~
白衣、帽子、マスクを着用し丁寧に手を洗い消毒します。その後、その日の調理作業の流れや注意点を確認します。

(2)食材の下処理
野菜は専用シンクで丁寧に3回洗います。肉や魚などの食材に異物が入っていないか入念に確認し、献立ごとに下味や衣を付けます。

(3)調理 午前9時ごろ~
焼き物機、揚げ物機などさまざまな大型調理器を使用して、調理を進めます。

・回転釜…炒め物や煮物などの主菜や副菜を作ります
・煮炊き釜…味噌汁やカレーなどの汁物を作ります
・スチームコンベクションオーブン…一度に約1,000個のシューマイや厚焼きたまごを作ることができます

「右の道具でかき混ぜ、左の道具では1杯で17~20人分の給食をすくい、配缶します」
※写真は本紙をご覧ください。

(4)配缶 午前10時30分ごろ~
栄養士などの味見の後、出来上がった給食をクラスごとに配缶していきます。

(5)配送・検食 午前10時30分ごろ~
栄養士などの味見の後、出来上がった給食をクラスごとに配缶していきます。

(5)配送・検食 午前11時ごろ~
9台のトラックで20校の学校に給食を配送します。子どもたちが食べる前に検食します。

(6)食器類の洗浄 午後1時30分ごろ~
戻ってきた食器類などはそれぞれ専用の機械で洗浄し、消毒保管庫に入れて熱風消毒します。