文化 歴活(レキカツ)-知れば史るほど-

■小沼耕地遺跡(こぬまごうちいせき)の前方後円墳
私事で恐縮ですが、平成元年に埼玉県に採用になって初めて携わった発掘調査が、旧騎西町種足(たなだれ)の小沼耕地遺跡でした。西日本から来た私でしたが、広大な関東平野の景観と、昼食のうどんに感激したことを今でもよく覚えています。
小沼耕地遺跡は、騎西養護学校(現…騎西特別支援学校)の建設に伴って行われた調査で、古墳時代と中世の遺跡であることが分かりました。中でも注目されるのは、加須市内で唯一の前方後円墳の発見です。出土遺物からみて、6世紀中ごろに築かれたと考えられます。現在、古墳はありませんが、学校の正門横に案内板が立てられています。
墳丘(ふんきゅう)全長は39mと比較的小型ですが、前方後円墳を築くことができたのは、ヤマト王権から認められた豪族に限られます。古墳の上には多くの円筒形の埴輪以外にも、水鳥や馬、猪、盾、人物など豊富な種類の形象埴輪が並べられていたようで、いずれも鴻巣市の生出塚(おいねづか)にあった埴輪窯で焼かれたものです。当時この種足の地が、周辺地域を治めていた豪族の拠点であったことが想定されます。
紹介者:岡本健一 加須市文化財保護審議会委員

○小沼耕地遺跡
住所:上種足888(騎西特別支援学校正門横)

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