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■手もみ茶
今回は茶畑を栽培管理し、市内では数少ない「手もみ茶」生産者の加藤里子(かとうさとこ)さんをご紹介します。
加藤さんが手もみ茶を始めたきっかけは、入間市博物館ALIT(アリット)主催のお茶大学に興味を持って参加したことだそうです。茶道の経験からお茶が元々好きで、この講座を通じ手もみ茶の面白さにのめり込みました。お茶大学には10年間通い続け、その後は茶道場でプロ(後の師匠)から本格的に学びました。
手もみ茶は春から初夏が精製時期で、加藤さんは日本茶と和紅茶を作っています。畑で茶の木を育て、収穫から精製まで一貫して自ら手掛けるのがこだわりです。
日本茶は晴れた日の午前中に茶葉を手摘みし蒸し器で温め、蒸気を飛ばしながら手もみをします。これを真夜中に無心で7~8時間繰り返します。日本茶は一番茶が特に柔らかく香りが良いそうです。針のように細長く乾燥させた茶葉が、急須の中できれいな1枚の葉に戻ると、うまくいったとうれしくなるそうです。
和紅茶は、手摘みした茶葉を40度のお湯を溜ためた浴槽の上で蒸気のみがあたるように一晩蒸し、翌日畳の上で手もみをするという独自の方法で作ります。翌朝、家中に広がる紅茶の香りで目覚めるのが幸せなんだとか…
完成したお茶は素材の旨味を存分に発揮し、機械乾燥のお茶と比べ、優しい風味の中にしっかりとしたコクがあります。
また、加藤さんはお茶以外にも米や野菜、鶏、麹(こうじ)などを育て、自給自足の暮らしをしています。海外旅行や短歌など趣味も幅広く、旅先で出会った食べ物を日本で再現することも楽しみの一つだそうです。お茶作りから暮らし全体にまで広がる加藤さんの探究心と行動力に、取材を通して私自身も大きな刺激を受けました。