文化 新春対談2026 未来へつなぐ新たな銅像の2人 渋沢栄一翁と渋沢敬三先生を語る(3)

◆栄一翁と敬三先生の精神を受け継ぐこれからの教育
小島市長:杉本学長は、渋沢家と杉本家の影響を受け、教育者の中では、特殊な環境の中で育ってきたのだと思います。今、大学の学長として、何か生かせる点や共通点などはありますか。
杉本学長:非常にあると思います。目的に向かってどうやっていくか、そのためにどのような知識を身に付けるのか、というのも大切ですが、『論語と算盤』ではないですが、『何のために』という目的が、どのように社会に結びつくのか、というところが大切だと思います。最近、高校生でもソーシャルな考え方に関心を持つ人が多くなってきていて、時代がそういうところに向いてきている気がします。単に利益を追求するのではなく、それが『何のためなのか』というところを自ら問うことが、私が考える栄一翁や敬三先生の教えにつながっているのだと思っています。
小島市長:教育もただ教えるのではなく、一番の元、根っこの部分ですね。
杉本学長:そこはすごく大切になっていますよね。
小島市長:何のために勉強をするかというところから始まって、栄一翁の考えでいえば、社会のため、世のため人のために行きつきますよね。
杉本学長:例えば生成AIは、課題を聞くとそれなりに答えてくれますよね。問題なのは、何を問うのか、何を課題とするのか、というところが当然大切です。まさに、栄一翁や敬三先生につながってくるのではないかと考えています。
小島市長:一番大切なのは、教育の中に栄一翁や敬三先生のような考えをどのように生かしていくのかだと思います。深谷市では、副読本を活用して、オンラインで栄一翁ゆかりの小学校や中学校とつながり、いろいろな交流や学習をしています。

◆栄一翁や敬三先生の考え方や精神を広めるためには
小島市長:最後に、栄一翁や敬三先生の理念をどうしたら身近に感じてもらえますかね。
杉本学長:これからAIをはじめ、テクノロジーが急速に進歩していきます。その一方で、それを受け止める人間がいます。テクノロジーが人間や社会にとって、どのような影響を与えるのか。仮に負の影響があるなら、それを小さくするにはどうしたらよいか。こういった問いに、ある程度の確信をもって答える学問分野は多くはありません。本学においても、そういう分野を広げていく必要があると私は考えています。まさに、栄一翁の『論語と算盤』や敬三先生の考え方が、今の時代に必要なのではないかと考えます。
小島市長:敬三先生が戦後に大蔵大臣になったとき、真っ先に自分の資産を物納できる勇気や日本国民のために先頭になって自分の私財を全部投げ売った潔さ、一文無しになっても構わないというすごさを多くの人たちに分かってもらいたいです。
敬三先生のすごさを今の人たちに、どのように伝えていけばよいのか考えていて、市民の方々に敬三先生の潔さや、世の中に対する考え方を伝えるのは、私の使命だと感じています。銅像移設を機に関係が持てましたので、これからも、ぜひよろしくお願いします。今日はありがとうございました。
杉本学長:こちらこそよろしくお願いします。ありがとうございました。