くらし 輝いてます ひと

塚越・日本語教室代表 常陸 民生(ひたち たみお)さん

■日本で暮らす外国人の力に
「こんばんは!」と子どもたちの明るい声が響く、東公民館の一室。毎週金曜日、ここで日本語を教えているのは、常陸民生さん(82歳・塚越7丁目)です。2月から、地域で暮らす外国人向けに、日本語教室を開講しています。
貿易関係の仕事で海外に赴任していた常陸さん。定年退職後、長年親しんできた語学と海外経験を生かせる仕事を探していたとき、現地で多くの人に助けられた日々を思い出します。「今度は自分が、困っている外国人の役に立ちたい」と半年間の講師養成講座で学ぶと、14年前から日本語を教える活動を始めました。
市外でボランティアとして活動を続けていくうちに、近所にも日本語が話せない外国人の若者が数多くいることに気が付きます。しかし、塚越地区には日本語教室がなかったため、彼らが学ぶ場所を作ろうと市と相談しながら準備してきました。そうした思いが実を結び、今年2月に東公民館の協力の下、塚越での教室開講が決定。すぐに仲間を集めると、授業を開始しました。
教室で学ぶのは、小学生を中心に年齢も日本語能力も異なる多様な国籍の生徒たち。日本語が伝わらないときは相手の言語を調べます。たどたどしい発音でも一生懸命寄り添うと、緊張気味だった子も、徐々に打ち解け、笑顔に。上達してきたら小説を教材にするなど、レベルに合わせた工夫も欠かしません。「この前まちなかで『せんせい!』と声をかけられたときはうれしかった」と常陸さんは目を細めます。
「言葉や文化が異なる中でも必死に学ぶ姿に、励まされています」と優しい口調で語る常陸さん。生徒たちが、日本語を学ぶことで人と通じ合う喜びに触れ、地域で安心して暮らせるように、これからも学びの場を支えていきます。