文化 今月の河鍋暁斎記念美術館

天才絵師の作品蕨にあり ─No.108─

■暁斎筆「名鏡倭魂新板」明治7年(1874)沢村屋板 大判錦絵三枚続
有名な鏡師(かがみし)と刀鍛治(かたなかじ)が鍛錬した鏡の力で、妖怪たちが逃げ出しています。鏡からは、まるで劇画のように放射状に光が放たれています。羽織袴(はかま)を着た鼻高男は、幕末に来日した英国人ジャーナリストのチャールズ・ワーグマンが出版していた英文の風刺漫画雑誌『Japan(ジャパン)Punch(パンチ)』に登場する「パンチ君」です。暁斎はこれに対抗すべく、仮名垣魯文(かながきろぶん)と組んで日本人初の漫画雑誌『絵新聞日本地(えしんぶんにっぽんち)』を、本図と同じ明治7年に出版しました。本図は日本の漫画史上、貴重な作品であると言えるでしょう。
※本作品は現在の展覧会で御覧いただけます

河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい) 天保2年(1831)~明治22年(1889)
現在の茨城県古河市に生まれる。浮世絵や狩野派を学び、江戸・東京の庶民から人気を博す。明治9年、万国博覧会に肉筆画を出品。14年、内国勧業博覧会で日本画の最高賞受賞。娘の暁翠も日本画家。

■河鍋暁斎記念美術館開催中
企画展「国際博物館の日記念暁斎による漫画的表現」展
同時開催特別展「暁斎が描いた明治の教科書挿絵―修身から宇宙まで―」展

開館:午前10時~午後4時
休館:火・木曜日(祝日除く)、26日~末日
ところ:南町4-36-4
入館料:一般600円高校生・大学生500円、小・中学生300円、65歳以上500円
※65歳以上の人は年齢の分かる物、学生は学生証をご提示ください。

最新の情報は美術館のホームページをご参照ください

詳細:同館
【電話】441・9780