くらし 輝いてます ひと

日本画家 松村 侑紀(まつむら ゆき)さん

■命の輝きを描いて
金箔(ぱく)や墨で生き生きとした動物の姿を華やかかつ繊細に描くのは、市内在住の日本画家・松村侑紀さん。動物の目線で世界を見つめ、その息づかいや感情を日本画で表現してきました。
幼い頃から絵を描くのが好きだった松村さん。中学生のとき横山大観(よこやまたいかん)の作品を見て、鉱石を砕いて作られた岩絵具の輝きに心を奪われ「私もこんな画材を使って描きたい」と日本画の道へ。東京藝術大学に進学し、国宝の模写を通じて長い年月を経ても残る日本画の美しさに魅了されていきました。近年は個展等に向けた作品を制作する日々。これまでに日本画分野で最大規模の展覧会の一つである日本美術院展で入選や奨励賞を受賞するなど、日本画家として確かな歩みを続けています。
作品の題材に動物を選ぶのは、子どもの頃に鳥や蛇を育てる中で、動物たちのはかなくも力強く生きる姿にひかれたから。「大好きな動物を描くことで、その命の尊さを伝え、守る一助になったらいいな」とほほえみます。そのために愛犬と山を歩き、草むらの中で鳥の羽ばたきを見つめ、森の静けさの中で動物たちの気配を丁寧に観察します。その一方で、描くときは細部を描き込み過ぎず、抽象的な線で動物たちの感じる音やにおいを表現。見る人が自由に想像できる工夫を凝らします。
そんな作品が蕨市美術連盟会長の目に留まり、今年度、蕨市展の審査員を務めることに。「皆さんの真剣な思いに触れ、私も多くを学びたい」と地域のかたとの新たな出会いにも期待しています。今後は取材した土地の砂を使うなど、動物が生きる世界をより身近に感じられるような試みも構想中。その作品は、これからも多くの人の心に動物たちの命の輝きを映し出していきます。