- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県ふじみ野市
- 広報紙名 : 市報ふじみ野 令和7年6月号
◆高齢者
高齢者には、次のような特徴がみられます。
○体内の水分が不足しがち
成人の体の約60%は水分ですが、高齢者になると50%まで低下します。汗を作るための水分が少ないため、脱水症状になりやすくなります。
○汗が出にくい
汗を出す細胞が減ってしまうため、汗が出にくくなり体に熱がこもりやすくなります。
○暑さや喉の渇きを感じにくい
暑さや喉の渇きに対する感覚が鈍くなるため、暑さに対応するのが遅れてしまいます。
喉が渇く前に、定期的な水分補給をしましょう。キュウリやトマトなど、水分を多く含む食材を、ふだんの食事に取り入れてみましょう。
例年、自宅内などの室内で熱中症搬送される割合が最も高いため、自宅内での熱中症対策を怠らないことが大切です。扇風機だけでなく、エアコンも使い、適温を保ちましょう。
[水分が多い野菜]
キュウリ(96%)
大根(95%)
トマト(94%)
ナス(93%)
にんじん(87%)
■年々増加する熱中症の救急搬送者数
過去4年間、市内の熱中症搬送者数は年々増加傾向にあります。
熱中症救急搬送者のうち高齢者の占める割合は約5割です。また18歳以下の子どもは約1割います。それぞれの対象者は熱中症になりやすい特徴を持っています。年齢に応じた予防策で、熱中症から身を守りましょう。
◆子ども(乳幼児)
自分で体調の変化を訴えられないことがある子どもは、大人による予防が重要です。
○体内の水分バランスが崩れやすい
子どもは大人に比べて新陳代謝が活発で、汗や尿として体から出ていく水分が多く、脱水を起こしやすくなります。喉の渇きは脱水症状の始まりです。喉が渇いたと子どもが自覚する前に水分補給をさせるよう注意してください。
○熱がこもりやすい
体温の調整機能が十分に発達していないため、熱がこもりやすくなります。
通気性の良い衣類を選び、汗をかいたらこまめに拭き取り、着替えをさせてあげましょう。
○自分では予防できない
遊びに夢中になると暑さや喉の渇きを忘れがちになり、自分で衣服の調整や水分補給がうまくできません。
乳幼児は自力で移動できないので、炎天下の車内など暑い環境に絶対に置き去りにしないでください。就寝時も暑くならないように、エアコンや扇風機を活用しましょう。
○「地面の熱」に気を付ける
ベビーカーに乗った子どもは地面に近く、暑さも増します。気温が32度のとき、子どもが座る高さでは35度以上になるという試算もあります。
ベビーカーに乗せる場合は、首の後ろに冷却枕や保冷剤を敷くと体温上昇を防止できます。
なお、首に巻くタイプの冷却グッズは乳幼児の首を絞めてしまう恐れがあるため、乳幼児への使用はお勧めしません。
■教えて!!子どもの熱中症のこと
西野こどもクリニック 院長 西野 智彦さん
Q.どうしたら予防できますか?
A.小児は成人と比較して、水分の割合や発汗量が異なるため、脱水になりやすいです。そのため、運動時に限らず運動前から水分摂取が必要です。その中でも、乳幼児は口渇感を感じにくく、保護者による積極的な摂取が求められています。また、突然の猛暑なども熱中症のリスクが高く、暑くなる前から1~2週間程度の暑熱順化(しょねつじゅんか)を行うと良いです。
Q.自宅でできることはありますか?
A.電解質にブドウ糖を加えた、いわゆる経口補水液が推奨されています。一方で、水分補給のみでは効果不十分であり、冷所での安静や冷水(氷)を用いた体温調整が重要となります。ただし、小児は体表面積の割合から急激な体温低下の危険性があるため注意深く行ってください。また、解熱薬の使用は推奨されていません。
Q.医療機関を受診するタイミングは?
A.めまい・立ちくらみ・筋肉痛に加えて、意識障害・嘔吐・頭痛などの症状が出現した場合は、医療機関を受診してください。ただし、発熱=熱中症ではない(感染症の可能性も)ので、適切なタイミングでの受診をお勧めします。