- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県千葉市
- 広報紙名 : ちば市政だより 令和7年6月号
■十、千葉が先か、千葉氏が先か
千葉開府900年まであと1年となりました。6月1日は「千葉開府の日」、今年は中央公園で「千葉開府まつり2025」を開催します。千葉のまちの成り立ちや歴史について学んだり、甲冑を身に纏(まと)って当時の武士の気分を味わったり、1年前をお祝いする記念にさまざまな企画を実施します。
900年前に現在の中央区亥鼻付近に本拠を構えた千葉氏ですが、千葉氏が築いたまちだから「千葉」なのか、千葉という地名があったから「千葉氏」なのか…いずれが先だったのでしょうか。
奈良時代まで遡り、当時成立した日本最古の和歌集『万葉集』には千葉郡の防人(さきもり)*1が詠んだ歌が残されており、千葉という地名が登場しています。
千葉の野の児手柏(このてがしわ)*2のほほまれど あやにかなしみ おきてたかきぬ
「千葉の野の児手柏のように若くてあどけないけれど、なんともかわいくて手もふれずにやってきたことだ」という意味で、防人となった千葉の若者が故郷に残した初々しい女性を思って詠んだものです。このことから当時既に「千葉」という地名が存在していたことがわかります。つまり、「千葉という地名があったから、平常重(たいらのつねしげ)は『千葉』を名乗った」ということなのです。
「千の葉に 時を刻んで 900年」こちらは千葉開府900年記念キャッチコピーです。千葉のまちで先人たちが残してきた歩みを振り返りながら、輝かしい未来へとつながる歴史的な節目を迎えようとしています。
*1 兵役として3年間九州北部を守る警備にあたった兵士。当時の農民にとって重い負担となっていた。
*2 常緑樹の一種。