文化 市美術館コレクション探訪

■渓斎英泉(けいさいえいせん)
《浮世風俗美女競(うきよふうぞくみめくらべ) 看花復飲酒(はなをみてまたさけをのむ) 酔臥落花茵(よいてふすらっかのしとね)》
文政6-7年(1823-24)頃 千葉市美術館蔵
溪斎英泉は、武家の子として生まれ、幼少期は狩野派に入門し絵を学んだと伝えられます。一家が離散して後に菊川英山(1787から1867)のもとで絵師として身を立て、文政期(1818から1830)には、濃厚な艶かしさと生活感を持った美人画風を展開して一世を風靡しました。
「浮世風俗美女競」は英泉の代表的シリーズで、本図では粋で婀(あだ)っぽい姿の芸者が、盃を差し出しています。さっぱりとした夏物の衣裳の胸元には、当時芸者の間に流行していたらしい携帯の小さな鏡の鎖が懐紙に巻かれているのが見えています。画中の漢詩は、花を見ながら盃を重ね、酔って花の落ちた茵(しとね)(敷物)に臥すという、花を芸者にたとえた内容です。美術館開館前の千葉市が入手した最初のコレクション・浮世絵師渓斎英泉を開館30周年記念の特集展示でご覧下さい。
(常設展示室にて5月8日から6月1日まで展示)