その他 千葉県の落花生発祥の大地で育まれた小さな宝物
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- 自治体名 : 千葉県山武市
- 広報紙名 : 広報さんむ 令和7年9月号
私たちの食卓に、香ばしい風味とやさしい甘みを届けてくれる「落花生」。
実は、ここ山武市は、明治時代に千葉県内で初めて落花生を栽培した場所です。山武市から始まった千葉県の落花生栽培は、今では国内産の約8割を占め「落花生といえば千葉」と全国に知られています。この風土に根ざしたその味は、長年にわたり受け継がれ、育まれてきました。
市内の生産者が手塩にかけて栽培する栄養満点の秋の味覚、落花生をご紹介します。
◆「落花生」ができるまで
「花」が「落」ち、そして土の中で「生」き、育っていく「落花生」。
5月に種まきを終え、7月に入ると、青々とした葉の陰から控えめに顔を出す黄色い花。この可愛らしい花が咲くひとときを過ぎると、子房柄(子房の付いている部分)がふわふわの土に潜りこみ、実をつけていきます。
落花生は、カラカラに乾燥した土を好みますが、花が土に潜る時だけは、水を必要とする少しデリケートな一面も持ち合わせています。
種まき後、カラスなど有害鳥獣の対策や苗周りの草取りなど、私たちの手に届くまでに生産者は幾重にもわたる丹精込めた作業を重ねて収穫の秋を迎えます。
◆大地の力、伝統の製法で、極上の逸品へ
収穫した落花生は、乾燥させるため円筒状に積み上げられます。通称「ぼっち」と呼ばれる農業景観は、産地ならではの秋の風物詩のひとつです。
市内唯一の落花生問屋である小川豊商店(埴谷)では、昭和34年の創業以来受け継がれてきた「天日干し製法」が今も大切に守られています。「天日干しをすることで、ゆっくりと水分が抜けて、豆に甘みがのります」と語るのは3代目の小川周哉さん。北は北海道、南は四国から注文が入る極上の逸品は、市のふるさと納税の返礼品としても多くの支持を受けています。
◆~落花生ができるまで~
1_花が咲いた後、子房柄が地面に向かって伸び、実を地中につける直前の落花生の姿。
2_収穫した落花生を「ぼっち」に積み上げて天日干し。風通しを活かした、昔ながらの自然乾燥の方法。
3_「ぼっち」での乾燥を終えた落花生は、機械でさやを分別した後、さらに風通しの良い木枠に並べて自然の力でじっくりと天日乾燥。