くらし ひとこと(211)

■地域活性とは何か
いすみ市長 太田洋

行政に関係する人が口癖のように言う言葉に、「地域の活性化」があります。この言葉を聞く度に、私は、本当の意味を分かって話しているのだろうかと疑問をもつことがあります。
最近、ある会合に出席した際、「言うは易く行うは難し、という言葉がある通り、あなたはこのことを理解して行動していますか、その言葉は思いつきの言葉ではありませんか、今一度自分自身に問い直してください。」という話を聞きました。多くの自治体が何とかして地域を元気にしたい、もっと活性化したい、人で賑わう地域をつくりたいと語っています。私自身も、このいすみ市をもっと元気にしたい、人の笑顔が欲しい、子供たちの元気な声を聞きたいと思うことはしばしばです。
では地域を活性化するためにはどうすれば良いのかを考えますと、まずやらなければいけないことは、しっかりと地域を知り、何が良くて何が足りないかを知ることだと思います。やみくもに他の地域の施策を真似しても根づくことは難しいと思います。まず、自分の地域をよく知って、良い所をみんなで話し合い、何をすればもっと良くなるかを考え、失敗を恐れず挑戦し続けることが大切です。
ある地域の話です。その地域が衰退し、人が来なくなる温泉をどうすべきかを考えなければならなくなりました。そこでまず、地域の美しい自然をもっと磨こうと話し合い、地域の美しい自然を魅力的に見せるため環境づくりをはじめました。毎日、皆でごみを拾い、美しい田園、美しい街並みをつくり、そこから人を招き入れることを仕掛け、今では年間数十万人が訪れる地域になったそうです。これは地方の成功例の一つですが、「あるものを探し、これを磨く努力」をし続けることが、地域活性化の鍵だと私は思います。
いすみ市にはたくさんの地域活性化の鍵があります。これをうまく磨いて、他の地域にないものをつくり、これが多くの人に評価されることに結びつけることが、今必要なのではないかと思います。今こそいすみ市の誇る美しいものを探し出し、そこを磨いて唯一無二のものをつくることが求められているのではないでしょうか。