くらし ひとこと(212)

■政治に求められていることとは
いすみ市長 太田洋

戦後日本は、敗戦の教訓から平和を理念に経済を発展させ、国民の生活を豊かにすることを目標に平和憲法をつくり、民主主義、自由にものを言える国になりました。平成は経済不況で多くのダメージをうけ、国民生活の不安、加えて、所得の停滞、格差の拡大と多くの課題を抱え、平成から令和になりました。令和は、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、国民の命をおびやかしました。
コロナが落ち着いた今日、日本の経済を考えると、今のままで良いのかと考えさせられます。自治体を預かる者として、物価高、所得の停滞、格差の拡大は年々大きく広がってきています。今では、東南アジア諸国が経済成長し、所得も向上し、生活水準もあがってきています。国内では米問題が大きな話題となっていますが、米問題は単に備蓄米を安く市場に出せば良いと考えるほど、簡単ではないのです。こんなことしか考えられない政府の力の無さをあらわにしました。大切なことは、食料安全保障の考えで農業を守るにはどうするのか、消費者を守るにはどうするのか、米の生産、消費を考えて、農業をどう未来に引き継ぐのかを考えなければいけないと思います。国会では、手取りを増やす、給付金を出すなどと言っていますが、今、大切なことは、国の経済をどのような方向に向けていくのか、国民の暮らしを守るためには何が必要かを考え、国民が安心してこの国で生活できる政治を行うことではないでしょうか。
2035年、食糧危機になると言われていますが、物価の中心的な役割を果たす米価をどう国民に信頼される価格にできるのか、今こそ政治はこのことを考え、国民生活を守るべきだと思います。政治は歴史に学び、そこから何をすべきかを知るべきです。政治家は自分よりも国民の幸せを考える人に選挙に出てほしいと願う日々です。