- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県多古町
- 広報紙名 : 広報たこ 令和7年5月号
多古中央病院の藤井康矢医師の臨床経験「高齢者(72歳~94歳)の閉鎖孔(へいさこう)ヘルニア嵌頓(かんとん)に対する低侵襲(ていしんしゅう)治療の経験」が日本臨床外科学会優秀論文賞を受賞しました。日本臨床外科学会雑誌第84巻11号から第85巻10号に掲載された計242編の論文の中から、原著1編、臨床経験1編、症例報告6編が受賞し、藤井医師は臨床経験での受賞となりました。
◆受賞された国保多古中央病院外科 藤井康矢医師
自分は若い頃に北海道の釧路で働いていましたが、多古でも似た感情を抱いておりました。それは、患者さまやコメディカルと良い意味で距離が近い外科医、またガイドラインに沿った治療だけでなく、何かあったときのアイデアや引き出しの多さ。もちろん、うまく行かないこともありますが、このような先生になりたいと思い働いていたのが懐かしいです。慈愛や人間味を感じるこの多古中央病院で、このような賞を頂けて大変光栄です。ありがとうございました。(日本臨床外科学会ホームページから抜粋)
◆国保多古中央病院 ⽚倉達病院⻑より
⽇本の外科学の進歩に中⼼的役割を果たしてきた歴史ある学会で、優秀論⽂賞という形で当院での診療が評価されたことを、とても光栄に思っております。
閉鎖孔ヘルニアは、痩せた⾼齢の多産婦に多いとされ、⿏径部(そけいぶ)ヘルニア(脱腸)の0.07〜0.48%と報告されているまれな疾患です。症状は⾻盤内の閉鎖孔という⼩さな⽳に⼩腸が⼊り込んでしまうことにより、腸閉塞と閉鎖神経の圧迫による症状が出ます。下痢のときのようなお腹が締め付けられるような痛みと、⾜の付け根から膝にかけての痛みが出ることが特徴です。腸が⾎流障害で壊死(えし)を起こす前に治療することが⼤事で、発症24時間以内に治療を開始することが必要です。
今回の論⽂は2009年から13年間に経験した症例をまとめた論⽂です。確⽴した治療法はなく当院の治療⽅法や考え⽅が、今後の閉鎖孔ヘルニアの治療成績の向上に寄与することを願っております。
▼日本臨床外科学会
1937年3月31日に設立された学術研究団体で、臨床外科学と外科医療の進歩発展を目的とし、会員相互の親睦や関連他学会との連携を行っています。