- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都新宿区
- 広報紙名 : 広報新宿 令和7年10月25日号(第2515号)
令和7年第3回区議会定例会で、6年度の決算が認定されました。一般会計を中心に概要をお知らせします。
■財政収支
▼一般会計・特別会計の財政収支(表1~3)
6年度は、当初予算に反映できなかった物価高騰対策関連経費等について、15回に及ぶ補正予算の編成や予備費を充用するなど、機動的な対応に努め、区民生活を支える対策を講じました。
歳出面では、投資的経費やその他経費が増となったものの、歳入面では、地方特例交付金や特別区交付金が増となったこと等から、実質収支は黒字となりました。一方、単年度収支に財政調整基金の積立金を加え、取り崩し額を除いた「実質単年度収支」は2年連続赤字となりました。
また、自治体の財政構造の弾力性を測る「経常収支比率」は、歳入面で地方特例交付金や特別区交付金が増となったものの、歳出面で職員の定年年齢引き上げに伴う退職手当の皆増などがあったため、前年度と比べて2.8ポイント増加して82.8%(適正水準は70%~80%)となり、区の財政構造は依然として弾力性があるとはいえません。
●ふるさと納税の新宿区への影響
ふるさと納税制度の影響によって、6年度は約42億円(学校給食費無償化に必要な経費の約3年分)、累計額では約226億円の貴重な財源が流出しています。区は、今後とも特別区長会を通じてふるさと納税制度の改善を求めていきます。
○表1 一般会計の財政収支(△は減)

※1 事業が終了せず翌年度に繰り越す事業に充てなければならない繰越金
※2 実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額
※3 単年度収支に基金の積立金を加え、取り崩し額を除いたもの
※4 区税等の経常的な収入が、人件費や施設の維持等の経常的支出にどれだけ充てられたかを示す比率
○表2 一般会計の性質別経費(△は減)

○表3 特別会計の財政収支(△は減)

▼基金・区債の現在高(図1)
6年度末の基金現在高(区の貯金)は、5年度末と比較して43億円減少し、577億円となりました。一方、区債現在高(区の借金)は、5年度末と比較して26億円増加し、211億円となりました。
物価上昇等の影響で、区財政を取り巻く環境は先行き不透明な状況にあり、将来にわたり安定した財政基盤を確保するには、より一層効果的・効率的な財政運営が必要です。
○図1 基金・区債の現在高

■健全化判断比率(表4)
自治体の財政状況を早期に把握し、破綻を防ぐことを目的に制定された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」では、自治体財政の健全度を測る4つの指標(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)を定めています。
6年度決算では、4指標全てで国の定める基準(早期健全化基準)を下回り、区の財政が健全であることを示しています。
○表4 健全化判断比率(単位:%)

※6年度決算は、全ての会計で実質収支が黒字となったため、実質赤字比率・連結実質赤字比率は算出されませんでした。また、将来負担比率は、将来負担額より地方債償還等に充用できる財源が大きかったため、算出されませんでした。
■基本政策の実現に向けた主な取り組み
6年度は、総合計画の着実な推進に向けて、重点的に取り組む「5つの基本政策」に基づき策定した第三次実行計画(計画期間/6年度~9年度)の初年度であり、「第三次実行計画を的確に始動させ、区民生活を支えるとともに、区政課題の解決に向け確かな歩みを進める予算」と位置付け、区政が直面する課題に積極的に取り組みました。6年度の主な取り組みは次のとおりです。
▼基本政策I 暮らしやすさ1番の新宿
・気軽に健康づくりに取り組める環境整備/3,296万円
・高齢期の健康づくりと介護予防・フレイル予防の推進/4,151万2千円
・地域で支え合うしくみづくりの推進/4,928万9千円
・保育基盤整備の推進/3億715万2千円
・妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の充実/3億6,239万8千円
・不登校児童・生徒への支援/514万3千円
・生活困窮世帯の子どもへの学習支援の推進/7,314万円
・町会・自治会活性化への支援/3,475万4千円
・大久保通り周辺(大久保地区)のまちづくりの推進/5,353万7千円
▼基本政策II 新宿の高度防災都市化と安全安心の強化
・建築物等の耐震性強化/3億6,909万9千円
・道路の無電柱化整備/4億1,576万3千円
・道路・公園の防災性の向上/7,465万8千円
・マンション防災対策の充実/756万円
・マンションの適正な維持管理及び再生への支援/550万8千円
▼基本政策III 賑わい都市・新宿の創造
・新宿駅周辺地区の整備推進/4,509万6千円
・新宿中央公園の魅力向上/1億1,545万7千円
・次世代につなぐ桜並木/2,226万円
・地球温暖化対策の推進/2億8,371万8千円
・観光と一体となった産業振興/1,712万9千円
・新宿の歴史・文化の魅力向上/1,688万8千円
・スポーツ環境の整備/3,540万円
▼基本政策IV 健全な区財政の確立
・効果的・効率的な業務の推進/4,133万4千円
・基幹業務システム基盤の整備/9億8,680万3千円
▼基本政策V 好感度1番の区役所
・多様な決済手段を活用した電子納付の推進/2,204万4千円
・自治体DXを推進する人材の育成/509万9千円
■地方消費税率引上げ相当分にかかる主な使途(表5)
消費税率は、平成26年度に5%から8%に引き上げられ、令和元年10月からは10%に引き上げられました。これに伴い、地方消費税率も、1.0%から1.7%に、1.7%から2.2%に引き上げられました。
この引上げ分は社会保障施策(社会福祉・社会保険等)のための経費に充てることとされており、6年度の地方消費税交付金のうち、引上げ相当分は53億300万円で、次の事業に活用しました。
○表5 地方消費税率引上げ相当分にかかる主な使途

問合せ:財政課
【電話】5273-4049
