くらし 令和7年施政方針 誰もが生きがいを感じ 自分らしく暮らしていける社会へ(3)

■予算編成の視点
予算編成にあたっては、昨年度に引き続き中長期的な視点からの施策の不断の検証・見直しやアップデートを図るべく、区政の全669事業を対象とした「事務事業評価」を行い、事業のスクラップや無駄の削減などにより約20億円の財源を捻出しました。
この事務事業評価によって捻出された財源を「区民の幸福(しあわせ)」につながる新たな施策に大胆かつ重点的に予算として配分しました。

※7年度予算案については、区ホームページでご覧いただけます。

◆ライフステージごとの施策展開
(1)産前産後の不安や孤独を取り除く
産前産後の子育て家庭は、様々な不安や悩みを抱えています。妊娠・出産における心理的不安や精神的負担をより一層軽減するため、デジタル技術を活用した助産師の伴走型サポートを受けられる取り組みを始めると共に、産後ケアサービスを都内トップレベルの水準に引き上げます。
主な事業:
・オンラインMy助産師による伴走型サポートで産前産後の不安解消…2,302万円
・産後ケアサービスを都内トップレベルに引き上げ…1億5,777万円
・妊婦・産婦歯科健康診査で歯のクリーニング…408万円

(2)社会全体で子どもと子育てを支える
未来を支える社会の宝である子どもの健全な成長のためには、社会全体で子どもと子育てを支える「子育ての社会化」が必要不可欠です。子育て世帯を社会全体で支えるため、保育料などの無償化や所得制限の撤廃を進めます。
主な事業:
・第1子保育料(0~2歳)の無償化…8億429万円
・私立幼稚園保護者補助金の所得制限撤廃と助成額引き上げ…10億1,727万円
・円滑な就学に向けた5歳児健康診査…644万円

(3)教育における格差をなくす
教育は、将来にかけて人が自分らしく暮らしていくうえで基礎となる不可欠な行政サービスです。誰もが等しく、かつ、不安なく教育を受けられるよう、国に先んじた先駆的な施策を積極的に進めます。
主な事業:
・中学校標準服(制服)購入費を所得制限なく無償化(令和7年度小学校卒業者から)…1億143万円
・修学旅行費を所得制限なく無償化…1億3,559万円
・所得制限のない給付型大学奨学金を創設…5,677万円
・朝の児童の居場所確保・朝食支援…5,746万円

(4)障害のある人もない人も、すべての人が共に暮らす社会をつくる
いつ何時、病気をしたり、障害を抱えることとなる、そのような可能性は誰にでも存在します。
誰もが直面しうるからこそ、障害のある人も、障害のない人も、すべての人が、安心して自分らしく暮らしていけるよう、等しくサービスを受けられる取り組みをさらに進めます。
主な事業:
・「18歳の壁」対策 生活介護延長受入れ運営費助成…1,656万円
・障害児通所支援などの利用料を所得制限なく無償化…7,453万円
・障害児者介護タクシー利用料・医療ショートステイ交通費の補助…3,917万円
・障害者就労支援施設を新規開設…5,000万円
・品川からデフリンピックを盛り上げる…2,388万円

(5)高齢者が安心して、いきいきと暮らせる社会をつくる
人は誰しも年を取り、やがて高齢者と呼ばれるようになります。
健康状況や認知機能への不安、老後の生活にかかる経済面の不安、けがや疾病、あるいは死後の不安など、年齢を重ねるごとにその不安は大きくなります。すべての人が抱える課題であるからこそ、誰もが必要とする支援やサービスを社会全体で担う取り組みをさらに進めます。
主な事業:
・終活支援サービスを所得制限なく無償化…838万円
・住宅確保要配慮者の居住支援を拡大…4,273万円
・高齢者の引っ越し費用助成と残置物処分費本人負担額の軽減…2,977万円
・認知症検診の対象年齢を70歳からに拡大…3,276万円
・紙おむつ利用高齢者支援 所得制限撤廃と助成額引き上げ…1億2,161万円

(6)あらゆる人を災害から守る
能登半島地震から1年。阪神・淡路大震災から30年が経過しました。過去の震災の教訓を踏まえ、いつ起こるかわからない首都直下地震への備えも進めていかなくてはなりません。被災者に対する人道支援活動のための国際基準「スフィア基準」等を踏まえ、避難者支援の質の向上に向けた取り組みをさらに進めます。
主な事業:
・スフィア基準等に対応水循環型シャワー等を購入…5,565万円
・木造住宅耐震加速化パッケージ・上限額の拡大で耐震化を促進…7億8,470万円
・女性や若者など地域防災の新たな担い手を育成…1,421万円
・防災活動をきっかけとした助け合い(共助)の強化…2,860万円
・区内8割を占める共同住宅のためのマンション防災推進…419万円

(7)未来に希望の持てるサステナブルな社会をつくる
未来の世代が希望の持てる持続可能な社会の構築は、今を生きる私たちの使命です。内閣府より「SDGs未来都市」に選定された品川区として「経済」「環境」「社会」の視点から、デジタル化の推進や省エネルギー対策などの取り組みを進めます。
主な事業:
・区内共通商品券・デジタル商品券を発行…2億5,454万円
・省エネルギー対策助成の新設・拡大…9,403万円
・AIオンデマンド交通の実証運行…2,000万円
・区民の声を区政に反映するデジタルプラットフォームを導入…396万円
・観光クルーズや水辺活用イベントの展開…6,942万円

■おわりに
「あたり前」の日常が決して「あたり前」にやってくるとは限らないからこそ、せめて、予測できる「不安」は解消し、誰もが安心できる社会を。生まれた境遇や環境によって未来が決定されるような社会ではなく、誰もが生きがいを感じ自分らしく暮らしていける社会を。生まれてきてよかったと、そしてここで生きていきたいと思える、そんな社会と未来を。共につくってまいりましょう。
※令和7年度予算案は、第1回区議会定例会にて可決された後に実施されます。