くらし 戦後80年、平和への祈りをこめて
- 1/44
- 次の記事
- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都品川区
- 広報紙名 : 広報しながわ 令和7年8月1日号
戦後80年の節目を迎え、私たちは改めて平和の尊さを考えていく必要があります。区では、核兵器の廃絶と恒久平和を願い、昭和60(1985)年3月26日に「非核平和都市品川宣言」を制定しました。その思いをさらに強いものにするべく、一人ひとりが平和について考えてみましょう。
■平和の尊さを次の世代へ
◆被爆二世 澤原さんインタビュー「当たり前の日常こそ尊いものであり、その日常を一瞬で奪うのが戦争である」
○澤原義明さん(上大崎在住)
澤原さんは被爆二世です。澤原さんの生母は広島で被爆し、白血病により36歳、澤原さんが9歳の時に亡くなりました。還暦を迎えた平成20年に、NHK広島放送局企画「ヒバクシャからの手紙」に投稿したことをきっかけに被爆二世であることを意識し、平和活動を行うようになりました。現在、東京被爆二世・三世の会「おりづるの子」の副会長も務められています。
生母が残していた手記が見つかったのは平成27年、戦後70年のことでした。昭和28年8月に岩波書店から出版された『世界』という本に掲載されていることを知り、図書館で読みました。母のことは病院にいた記憶しかありませんでしたので、当時がどんな状況であったのか、母がどんな思いで過ごしていたのかを知ることができました。
母の手記には戦争反対とか、戦争が憎いとか、そういったことは一切書かれていません。家に帰りたい、家族と暮らしたい。そのことがくり返し綴(つづ)られていて、命と健康がいかに大事であるか私自身深く感じました。朝起きて家族がいて、学校や会社へ行くことができて、毎日ご飯が食べられる。この当たり前のことがいかに尊いことであるか。平凡な毎日は実は非凡であることを、多くの人に伝えたいです。
尊い日常を一瞬で奪ってしまうのが戦争です。尊い命を破壊するのが戦争です。次代を担う若い人たちには、意見の違う人たちの声に耳を傾け理解する感性、相手の思いに共感する心の豊かさを身につけ、美しい音楽や文学に触れ、平和を創造していく力をつけていってほしいと思います。
負の連鎖からは何も生まれません。武力を武力で封じるのではなく、相手と誠実に向き合う心や姿勢こそが大切であることを、忘れないでください。
澤原さんの証言動画を区公式YouTubeチャンネル「しながわネットTV」で視聴できます。ぜひご覧ください。
◆平和のために私たちができることはなんだろう
「品川区平和使節団」として広島・長崎へ行くお二人にお話を伺いました。
○今村凛音さん(頌栄女子学院高等学校1年)
私は被爆した方との“被爆体験を語り継ぐ約束”をきっかけに平和事業に参加するようになりました。平和とは何か、原爆が落とされた時の状況はどうだったのか。今回長崎へ足を運び、学びを深めるのはもちろん、現地で活発に行われている「若い世代による伝承活動」について、東京でも活(い)かせる何かを見つけたいと思います。
派遣から戻ったら、学んだことを糧に、平和に関心を持ってもらえるよう発信活動に努めていきたいです。
○森岡稔理さん(戸越台中学校2年)
僕の曽祖母は沖縄戦を生き抜き、さらに戦後は生き残った家族のために、身を粉にして働いたそうです。その話は、テレビや本などで見聞きする戦争よりも本当に恐ろしく、絶対に戦争のない世界でなければという思いを強くさせました。
僕たちは、戦争経験者の実体験を生で聞き取ることのできる最後の世代です。戦争が現実になりそうな世界状況の中、広島の方々から核兵器の恐ろしさについて、生の声を聴きたいと思います。
■平和への祈りと願いをこめて
◆黙とうをささげましょう
戦争・原爆死没者の慰霊と世界の平和を祈り、黙とうをささげてください。
○黙とう時間
広島市原爆投下日 8月6日(水)午前8時15分
長崎市原爆投下日 8月9日(土)午前11時2分
終戦記念日 8月15日(金)正午
◆非核平和パネル展を開催します
原爆投下日、終戦記念日、非核平和都市品川宣言の制定日にあわせて、8月と3月に開催しています。
○8月の非核平和パネル展
日時:8月1日(金)~15日(金)
場所:区役所本庁舎・第二庁舎3階渡り廊下
◆青少年平和使節派遣
次世代を担う青少年を「品川区平和使節団」として、被爆地である広島・長崎に派遣します。平和祈念式典への参加、原爆資料館の見学、被爆体験の講話の聴講などの経験を通して、平和の尊さ・大切さに対する認識を深め、学校や職場、地域社会へ広げていくことを目的としています。
中学生広島平和使節派遣…8月5日(火)~7日(木)
青少年長崎平和使節派遣…8月8日(金)~10日(日)
◆平和の継承事業
平和の継承事業戦後80年を迎え、被爆者の高齢化が進み、今後平和の継承が大きな課題となってきます。区では、今後も平和な世界であり続けられるよう、平和について自ら学び、考える機会として、平和のワークショップと被爆ピアノを用いた平和の集いを開催する予定です。詳しくは区ホームページや本紙などでお知らせします。
問合せ:総務課平和・国際担当
【電話】5742-6691【FAX】3774-6356