スポーツ する・見る・支える。ボッチャの魅力を渋谷から。(1)

―誰もがヒーローになれる、ボッチャの魅力。―

■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
渋谷区スポーツ協会理事、日本ボッチャ協会事務局⻑の三浦裕子さんに、ボッチャの魅力や4月に開催される「BOCCIA JAPAN CUP(ボッチャジャパンカップ)2025」の見どころについて伺いました。

(一財)渋谷区スポーツ協会理事、(一社)日本ボッチャ協会事務局⻑ 三浦裕子(みうらひろこ)さん
「「BOCCIA JAPAN CUP 2025」は入場無料で出入り自由です。ぜひ、お気軽にお越しください。」

◆ルールはシンプル、投げ方は自由、戦術は無限大
◇自己紹介をお願いします。
三浦:小学1年生から大学生まで競泳に打ち込み、大学卒業後はスポーツメーカーでオリンピック選手のサポート業務に携わりました。その後、退職・起業し、今はアスリートの活動やセカンドキャリアをサポートする事業を行なっています。(一社)日本ボッチャ協会(以下、日本ボッチャ協会)に携わるようになったのは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)の招致活動がきっかけです。当時の日本代表のヘッドコーチからオファーを受け、平成28(2016)年に広報担当になり、現在は事務局長を務めています。また、区の「シブヤ『部活動改革』プロジェクト」において国内初となるボッチャ部の設立をサポートさせていただいた経緯から、(一財)渋谷区スポーツ協会(以下、スポーツ協会)の理事も務めています。

◇ボッチャという競技について教えてください。
三浦:ボッチャは重度の脳性まひや四肢に重度の機能障がいのある人のために考案されたスポーツで、パラリンピックの正式種目です。年齢や性別、障がいの有無にかかわらず、誰もが一緒にプレーできることから、「究極のインクルーシブスポーツ」ともいわれています。ルールはとても簡単で、赤・青チームが6球ずつボールを投げ、ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、自分たちのボールをどれだけ近づけられるかを競います。この流れを1エンドとして、個人・ペア戦は4エンド、チーム戦は6エンドでゲームを行い、その合計得点で勝敗が決まります。

◇ボールの投げ方には決まりがないそうですね。
三浦:コート内のスローイングボックス※1から投げることは決まっていますが、手で投げても足で蹴ってもいいのがボッチャの特徴です。障がいによって自力で投球できない選手は、ランプ(勾配具)を使うこともできます。ボールはマイボール制で、大きさ・重さが規定内であれば、硬さや材質は問いません。試合では何種類ものマイボールを用意し、戦術に合わせて使い分ける選手もいます。とても自由度が高く、奥の深いスポーツです。
※1 選手がボールを投げる縦2.5m×横1mのエリア

◇ボッチャの魅力はどのような点にあると感じますか?
三浦:どんな人にも寄り添い、誰もがヒーローになれるスポーツであるという点に大きな魅力を感じています。小学生や高齢者、障がいのある選手がハイレベルなパフォーマンスを見せてくれると純粋にすごいなと思いますし、ひた向きに頑張っている姿を見ると応援にも熱が入ります。また、ボッチャは実際に体を動かすスポーツなので、続けることで身体機能が向上することも研究により明らかになっています。長年スポーツを諦めていた人でも、ボッチャを始めることで、生活の中でできることが増えたり、社会とのつながりを持つきっかけになったりすることがよくあります。私自身も水泳一筋で球技は苦手でしたが、日本ボッチャ協会に入って仲間たちと練習を重ねるうちに、その面白さにはまっていきました。なかなか上達しないのですが、とても楽しいですね(笑)。

◇ボッチャの醍醐味(だいごみ)を教えてください。
三浦:ボッチャは戦術が大事な頭脳スポーツです。ボールを投げるときに相手の弱点を突いたり、逆に自分の強みを生かしたり、試合を有利に進めるための戦術がなければどれだけ技術があっても勝てません。特に団体戦の場合は、チーム内での的確かつ迅速なコミュニケーションが不可欠で、パラリンピックなどの試合を見てもらうと、日本代表チームの強さの秘訣(ひけつ)はコミュニケーションにあることが分かると思います。攻め方の基本的な戦術はありつつも、戦術の幅は無限大です。「自分だったらどう攻めるかな」と考えながら試合を見るとより面白いですよ。