その他 第2回区議会定例会区長招集あいさつ (2)

5.民泊対策
「豊島区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」を制定した平成30年当時の届出住宅数は、657件でしたが、現在、届出住宅数は1,500件を超えて、条例制定時の2倍以上となっています。区民の皆様からは、ごみ出しルールが守られないなど、様々な苦情が寄せられています。全町会長を対象としたアンケート調査や、有識者・関係団体で構成する検討会を立ち上げるなど、年内の条例改正を目指し、スピード感を持って進めます。既存の民泊事業者についても、改めて現状を把握し、適切に業務改善命令を出すことで、事業者の運営是正と地域の環境改善に向けて区の体制を強化します。

6.まちづくり
基本計画では、具体的な施策の1つとして、「池袋駅周辺地域の再生」を位置付けています。ハレザ池袋や南池袋公園、アニメイト通りを中心とした、「池袋駅東口A・C・D地区」は、国内外から多くの来街者でにぎわいを見せている一方、建物の老朽化道路空間が狭いこと、滞留できる空間が限られているなどの課題もあります。建物の建替えに併せて道路空間を広げ、民間敷地内におけるにぎわい施設を整備し、既存の建物を活かしたリノベーションを誘導する「街並み再生方針」を8月までに策定する検討を進めています。アンケートや説明会でいただいた意見も踏まえ、「人」が主役のウォーカブルなまちづくりの実現を目指します。

7.子ども・若者の支援
(1)UR連携事業
今年度からスタートした若者の居場所事業は、UR都市機構と協定を結び、東池袋の空き家を活用することで、様々な困難や生きづらさを抱えた若者に対し、自立に向け継続した支援を行う場を創出するものです。7月には、2件の空き家が「若者就労支援の拠点」、「若年妊産婦の生活支援の場」に生まれ変わります。今後も、様々な環境にある若者たちが、夢や希望を持って成長し、その人らしく活躍できるよう、支援を展開します。
(2)夏休み子どもの居場所事業(区民ひろば区民集会室の活用)
新たな取組みとして、小学生から高校生を対象とした「夏休み子どもの居場所事業」を区民ひろばに併設した集会室5か所で開催します。この事業では、子どもレターで「個人学習の場」の要望が多いことを踏まえ、「静かな自習室」を設け、小学生を対象とした映像制作や音楽制作などの体験プログラムも用意します。今回の取組みにより、若年層の利用拡大に繋げていきたいと考えています。
(3)ベビーシッターによる一時預かり利用支援の拡充
子育て支援策として、ベビーシッター利用支援を拡充します。これまで、一時的に保育を必要とする未就学児童の保護者を対象に、年144時間まで補助を実施していましたが、小学6年生までの障害児とひとり親家庭の未就学児童の保護者のかたに、年288時間まで利用していただけるよう準備を進めていきます。

8.教育の充実
(1)新・教育委員会体制
教育大綱に掲げる「笑顔で元気な“としまっ子”が育つまち」の実現に向けて、新たに清野教育長、猪狩教育委員、松宮教育委員の3名を教育委員会にお迎えしました。清野教育長は、区のホームページ内で「教育長の日記」を開設し、「区民に開かれた、活力ある教育委員会」を展開しています。すべての子どもが将来に夢と希望をもって歩みを進められるよう、これまで以上に教育委員会と一体となって取り組みます。
(2)不登校対策
4月に開級した西池袋中学校の「チャレンジクラス(スリジエ)」では、学校に通いたいと思っていても勉強や対人関係に不安がある生徒や、在籍校に戻ることが難しい生徒などに対して、校内教育支援センターと連携し、一人ひとりの学習状況に応じたきめ細かな指導と、生徒の主体性を大切にした教育活動を展開しています。新たに配置した「不登校対策スーパーバイザー」に、文部科学省の「学びの多様化学校マイスター」である、黒沢正明氏が就任しました。不登校を生まない学校づくりのため、研修や学校訪問による指導・助言をしています。
加えて、教育センターで実施している、適応指導教室「柚子の木教室」では、令和7年6月から昼食の提供を試行で開始しました。教育センターへの通級が難しい児童・生徒が、昼食をきっかけに通級頻度が増えたという嬉しいケースも見られ、本格実施に向け準備を進めていきます。

9.犯罪被害者等支援
令和7年4月に、福祉部に犯罪被害者等支援の専門相談窓口を開設しました。本定例会では、犯罪に巻き込まれた被害者やその家族のおかれている状況への理解を深め、庁内関係部局の横断的な取組みや、関係機関、支援団体などとの連携を強化するため、「豊島区犯罪被害者等支援条例」を上程します。本条例では、「犯罪被害の予防」にも言及し、他の自治体にない特色となっています。また、「遺族子育て支援金」、「性犯罪被害者支援金」の創設による経済的支援の強化、さらに、家事援助や配食サービスなど、日常生活支援策を拡充します。

10.おわりに
本年は、戦後80年という大きな節目を迎えることから、様々な平和事業を展開していきます。まず、長崎の平和祈念式典へ中学生を派遣します。また、としまセンタースクエアにおいて、原爆パネル展や被爆体験の講演会を開催するなど、区内全域で平和事業を展開します。さらに、実施にあたっては、各施設をスタンプラリー形式により巡っていただくなど、幅広い世代の皆様に平和の尊さや記憶の継承となるよう努めてまいります。