くらし [特集]情報を文字で伝える要約筆記(2)

◆特性を生かし、さまざまな場所で利用される要約筆記
要約筆記は2種類あり、用途によって伝える方法も変わります(下表)。県域や市の事業で活動する要約筆記者は、県が開く養成講習会を受けた後、最終的に認定試験を受けて資格を取得した方です。市の講座や市民団体のサークルでは、県の養成講習会へ通う前に、基本的な理解を深められます。市の事業での派遣はボランティアではなく、派遣報酬が支給される「仕事」です。

◇種類と特性
・手書き要約筆記
紙やボードなどに文字を書き出す。利用者とともに移動しながら書けるので、場所を選ばずに状況に応じて柔軟に活動できる。講座などは2人一組、病院の付き添いなどは1人で対応。

・パソコン要約筆記
要約筆記用に開発されたソフトを使用。パソコンで文字を入力して別の媒体に映し出す。手書きより多くの情報を表示できる(1分間で1人当たり100〜120文字を入力)ので会議・講座での利用が多い。4人一組または6人一組で対応。

◇方法
・ノートテイク
手書き要約筆記では、横に座って書いたり、場所を移動しながらバインダーを使って書いたりする。パソコン要約筆記では、表示用のパソコンなどに映し出す。表示用の画面は利用者の希望で色などを調整する。

・全体投影
会場全体から見えるよう、スクリーンなどに要約筆記を映し出す。

◆速く・正しく・読みやすく
要約筆記には、手書き要約筆記とパソコン要約筆記の2種類があり、各特性を生かした方法で、さまざまな場面で利用されています。市の事業で活動するのは、県の認定要約筆記者の集まりである、市要約筆記者連絡会の皆さんです。同会は手書き・パソコン要約筆記者、各10人が登録しています。同会の高野多恵子さんは「手書きとパソコン、どちらの要約筆記も『速く・正しく・読みやすく』が原則です。必要とする方に分かりやすく伝えられるよう、練習を続けています」と話します。

◇話し手の意図を聞き取る
「言葉は助詞一つで意味が変わってしまいます。そのため、話し手の『伝えたい内容』を正しく聞き取る必要があります」と高野さん。「当日の資料を読み込んだり著書を読んだりして、話し手を知っておくことを大切にしています」と続けます。パソコンでは専門用語の単語登録、手書きでは画数の多い言葉などを付箋で用意するなどの工夫もしているそうです。

◇個人の技術とチームプレイ
聞き取った話を伝えるためには、練習が欠かせません。同会の手書き要約筆記者、中村佳代子さんは「個人的に学習会に参加したり、所属するサークルで難聴者に協力してもらい実習をしたり、動画サイトで勉強したり、方法はさまざまです」と話します。手書きもパソコンも個人の技術力アップに日々努めているそうです。
またパソコン要約筆記は、要約筆記者同士の練習も重要だと高野さん。「パソコンの場合は2人で連係入力をします。現場によって違う人とペアを組むので、誰とでもできるようにならなければいけません」と説明します。基本4人一組、長時間になると6人一組で現場に入るパソコン要約筆記。「見ている人がいること」を常に意識しています。「見て負担にならない画面を作ることなどを心がけ、チームで協力して要約筆記をしています」。

◇新たな担い手を育てる
高野さんも中村さんも要約筆記を学び始めたきっかけは、書くことが好きだったから。「好きなことを生かして何かできることはないだろうか」と見つけたのが要約筆記でした。「20年以上、要約筆記者として活動する中で、たくさんのことが見えてきました。相手の立場になって考えること、相手の気持ちを察すること、少しずつ理解して今があります」と高野さん。今後を見据え、人材育成への思いを続けます。「仕事をしながらという方も多く、みんなが常に現場に行けるわけではありません。途切れなく支援を続けるためにも、担い手として一緒に学んでくれる方が増えたらうれしいです」。

◆要約筆記を学びませんか
◇パソコン要約筆記者の養成講習会
日時：令和8年1月13日〜3月3日の火曜日、全8回、午前10時〜正午
場所：本館5階519会議室など
対象：市内在住・在勤・在学で、パソコンのタッチタイピングができる18歳以上の方
定員：8人(先着順)
持ち物：ノートパソコン・筆記用具
費用：500円
応募：令和7年11月26日(水)から、電話または直接、本館1階の障がい福祉課【電話】21-8774へ。

◇サークルの学習会もあります
見学だけもできます。ボランティアとしての活動や学習会の内容など、詳しくはお問い合わせください。

・要約筆記サークル　ひらつか
活動日は第1・3水曜日の午後1時〜3時。福祉会館(追分1-43)
12月3日までの毎週水曜日、午後1時30分〜3時30分に同会館で開かれている「手書き要約筆記　入門講習会」は見学できます。

問い合わせ：福祉会館
【電話】33-0007

・パソコン要約筆記湘南
活動日は原則月1回、月曜日、午前9時30分〜正午
場所：中央公民館(追分1-20)

問い合わせ：中央公民館
【電話】34-2111

問い合わせ：障がい福祉課
【電話】21-8774