健康 熱中症から命を守る(1)

■熱中症の症状
◇軽症
・めまい
・立ちくらみ
・生あくび
・大量の発汗
・筋肉痛
・筋肉のこむら返り

病状が進むと↓
◇中等症
・頭痛
・嘔吐(おうと)
・倦怠感(けんたいかん)
・判断力低下
・集中力低下
・虚脱感

「熱中症」は、高温多湿な環境下で、発汗による体温調節などがうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。屋外だけでなく、室内で何もしていないときでも発症します。中等症でも入院治療が必要になることもあり、重症化すると入院が長期になり、後遺症の心配もあります。場合によっては死亡することもありますので、何より予防が大切です。

■市内の熱中症発生状況(搬送数)
・2021年…68人
・2022年…62人
・2023年…90人
・2024年…83人

◇年齢別 搬送割合(2024年)
・65歳以上の高齢者…56.6%
・40〜64歳…15.7%
・その他…27.7%

市内では、昨年83人が熱中症で救急搬送されています。前年からは微減していますが、全国的には増加傾向にあります。「まだ熱中症になる季節ではない」、「自分は大丈夫」など、油断は禁物です。

■現場のお話を聞きました。「高齢者は特にご注意を!」
◇熱中症は毎年いつ頃から発生し、どんなときに増えますか。
救急搬送件数は、7~8月が最も多くなりますが、梅雨入り前の5月から発生しています。体が暑さに慣れていない時季や梅雨の晴れ間、また前日に比べて気温や湿度が著しく上がったときなどに、発生件数は増加する傾向にあります。

◇救急車を呼ぶ必要がある症状を教えてください。
呼び掛けに応じていても、受け答えや会話が不自然、普段どおりに歩けない、けいれんを起こしている、体が熱いのにもかかわらず汗が出ていないときなどは、救急車を呼んでください。判断に迷ったときは救急相談センター(電話♯7119)に電話をかけて、相談しましょう。

◇熱中症と思われる人と遭遇したときや、救急車を待っている間は、何をしたら良いですか。
「熱中症の応急処置」のチャートを参考に処置してください。状況が一番分かっている人が救急車に同乗し、医療機関で経過や症状などを伝えられると、その後の治療にとても役立ちます。

◇搬送件数・発症数が最も多い高齢者に対して、アドバイスはありますか。
特に一人暮らしは心配ですね。近所の人の声掛けや、家族の見守りが何より対策になります。

◇昨年は連日、熱中症警戒アラートが出たり、天気予報などでも注意喚起されていましたが、それでも搬送される人が減らないのはなぜですか。
高齢者は、暑さを感じにくくなっているため、気付いたときにはすでに症状が重くなっていることもあります。体温調節機能が未発達の小さな子どもは、大人の注意が必要です。また、屋外でスポーツをしている人は、体力の過信や、油断が原因だと感じています。

◇救急要請はどんな場所からが多いですか。現場に駆け付けた救急隊員だからこそ気付いたことがあれば教えてください。
住居内からの要請が多く、エアコンを付けないで就寝していた高齢者が目立ちます。室温も湿度も高い状態で、換気も重要だと感じました。高温により脳がダメージを受けると取り返しがつきません。また、夜間にトイレに起きるのが嫌で水分を控える高齢者も多く見受けられます。社会全体で、熱中症に対する危険性の認識が甘いと感じます。

◇熱中症にならないためのアドバイスをお願いします。
熱中症は健康な人でも突然発症することがあります。特定の環境を避ければ予防できるところが、他の病気とは違います。脱水状態になると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高まります。

まずは室内での発生が一番多いことを知っていただき、自分の感覚だけに頼らず温度計などの確認や、エアコン・除湿機の活用、喉がかわく前の水分補給も意識的に心掛けましょう。

問合せ:大船消防署・救急隊長